第三章 絵画全国制覇につき東京へ 星!高評価!♡すぐにいますぐつけて!

全国制覇&東京決定

 新章開幕です


 俺にとってはなんでもない日だった。いつものように学校に行って紫乃と会って楽しく話をして美術室に入る。少し絵を描いて家に帰る、しかしその日は美術室に全員が集められた。


「今日なんで集められたか知ってますか?部長」

「私もしらないぞ、先生が意味もなく私たちを集めるなんてことしないんだが、一体何が起きるかわからないぞ」


 美術部員に緊張が走る。思い当たる節はない。せいぜいが最近絵を描くときの恰好がもはやコスプレがメインになっていて絵を描く時間が好くなっているという非常事態が起きていることくらいだろうか。

 それでも作画資料になっているから問題ないはずなのだが。


 絵を描いているわけにもいかないので俺たちは制服で座って話していた。


「みんな、またせたな。今日は良いニュースがあってきたぞ。今から名前を呼びあげるから立つように。

 麗桃心愛、麗桃水愛。有馬紫乃、丸山金彦。おめでとう、第五十回全国漫画アニメ絵画コンクール、審査員高校特別大賞受賞だ。」


 どうやらすごい賞を取ったらしい、思い当たる物と言えばあの『花宮すず』のイラストくらいだが、これは俺のおかげか。

 ふふーん、とちょっとだけ誇らしく思っていると、俺以外の三人が急に泣き始めて、わんわん泣いている。



「すッ…ぐすっ。ほ、本当ですか。審査員学校特別賞受賞は本当なんですか」

「本当だぞ、私も何十回も見直したし、電話までしたぞ。だから遅くなってしまったんだ」

「金彦、私たちやったわよ。奇跡だわ」


 俺以外の三人は抱き合っている。もう二度と手放さないとばかりに肩を組んで。俺も勢いに乗るしかない、頑張ってこれはすごい賞なのだと自分に言い聞かせて涙を流した。

 紫乃が嬉しがっていると俺も嬉しい。三人の中に飛び込んでいった。


 三人に強く抱きしめあった。甲子園優勝したくらいの盛り上がりである。


「水愛、やったりましたね」

「本当にやったよ、パスポート準備しなきゃ」


「どこに行こうか、フランスとか行きたいな」

「お前たち、表彰式は東京でやるからな準備するんだぞ。詳細はまた後で送るからな、今は喜びをかみしめるんだぞ」


 他の美術部員も涙を浮かべている。ものすごい拍手が鳴りやまない。


 えっ、胴上げ?今からするのか。

 俺たちは一人ずつ胴上げをすることになった。


 せーのばんざーい、ばんざーい。ばんざーい。美術部は筋トレをしていないので全然体は浮かなかったがとにかく胴上げがなされた。


 嬉しすぎて俺たちだけしんみりした空気が流れている。紫乃も涙がとまらない、俺は持っていたハンカチで紫乃の涙をふく。そろそろ俺の涙も枯れてしまった。


 何?この賞は。誰か説明してくれ。


 歓喜の渦が俺たち四人を中心して広がっていくが俺が台風の目になっている。俺の心だけ心が動いていない。いたたまれないので小声で先生にこの賞の正体を聞く。


「せんせい、ちょっといいですか。準備室に行きましょう」

「いいぞ、証拠をみせてあげよう」




 俺は美術準備室に入って先生と一体一になることができた。これなら秘密の話ができる。


「さっきから話してる審査員高校特別大賞って何ですか?あと水愛が海外とか言ってたんですけど作品が海外で展示されるんですか?」

「ん?もしかして自分が何を成し遂げたかわかっていない感じかな?わが高校始まって以来の快挙だぞ」


「具体的にどのくらいすごいんですか?」

「全国の中で一番だ。個人の部と学校別の部があってその学校別の部で一番だぞ。甲子園で優勝したのと扱いは同じだ」


「ならとんでもない事じゃないですか」

「そうだぞ、今回は50回だから要は春の甲子園に優勝したようなもので副賞がが海外研修だからすごいんだぞ」


 ようやく何が起きたのかが把握できた。俺たちの作品が全国制覇を成し遂げたのか。俺以外がオーバーリアクションしてるわけではなかった。俺が逆に冷静すぎた。


 これはもっと場を盛り上げるしかない。



 俺は脱いでワイシャツをタオルのようにして上半身裸になる。そして扉を上げた。


「やったぞー!!海外だーーー。」


 いやっほい、ほいほいほい。俺はハイタッチを敢行する。いえーい、いえーい、いえーい。俺がハイタッチのために胸の前に手を指すとみんなハイタッチし返してくれた。ふうぅぅぅ。最高だぜ…」


 いつもなら多少なりとも問題行動として思われそうだが、今日はみんながひかなかった良い。きっと今日だけは多めに見てくれるのだろう。一番はしゃいでる人に無事になれた。


 今日は部活にならないので解散である。先生からプリントが配られた、内容は表彰式の招待状みたいなものである。今度の土曜に上野の美術館に絵を飾るのと同時に表彰するからきてくれと言うことだ。お偉いさんんもめちゃめちゃ来るらしい。


 パスポート準備しなきゃ、海外研修が副賞に出ると本当に描いてある。


「紫乃、パスポート持ってるか?」

「私がパスポートなんて持ってるわけないでしょ」


「それもそうか、これはちょっと早めのハネムーンだな」

「な、なに言ってんのよ。私たちまだ結婚してないわ。新婚旅行をハネムーンていうのよ、知ってたかしら」


「知らなかった、っていうか「まだ」って。これはただの旅行にはならないな」

「違うわよ、私たちまだ早いわ。ただの旅行よ」


 これは旅行ではない。あくまでも研修旅行である。いったいどこにいくかわからないが、紫乃がいればどこに行っても楽しいはずである。


 まずは東京に行って表彰されなれば、俺は誰に自慢してやろうかと考えた。誰に行っても喜んでくれるだろう。


「絵を本格的に描き始めたら、才能開花。俺TUEEEチートで全国制覇」昔チートをもらった気がするが、結局なんの効果もなかったので運がよかったのだろう。おそらくとてつもない絵を描いた心愛先輩と紫乃と水愛の絵がなかったら受賞できなかっただろうし。


 面白かったら、いいねとブックマーク、★評価もぽちりしてください。


 モチベ上がりますのでよろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る