BSS(僕が先に好きだったのに)未遂
今日は朝から体育なのでいきなり体を動かすがサッカーである。サッカー見るのは好きだけど。うまくはない。
授業はパスとかリフティングとかできるやつらが少しうらやましいがどうやっても勝てはしないので、できるだけのことはする。
日が昇っていて若干暑いが許せないほどではない。俺は
「ヘイパス、まっすぐ蹴れよ」
「分かってるって。ヘイパス」
「パス、ところでさ。今日朝練の時にギャル見たんだけど。」
「はい、パス。どこにいたんだよ」
「いや、あのギャル
「はあ、ならそうなんじゃないのか」
俺が蹴ったボールは勢いをつけすぎたのか明後日の方向に行ってしまった。
今ここでなぜ
何も悪いことはしてないから問題ないが紫乃のギャル化やはり止めておくべきだったか。
「ごめん、取ってきて」
「わかったよ、
ボールが帰ってきた。パス練習の再開である。
俺の心情を見越しているのか、はたまた単純に下手に合わせているのかパスがこころなしか優しい。
朝教室で会ったときにはすっかり化粧もヘアセットも直していつもの
「パス、右足あとに二十回。ヘイパス」
「そういえば、最近部活よく行ってるんだろ」
「パス、最近はサボらずにいってるよ」
「あの、
「
「俺にパス強くやっぱりそうだよな。うらやましいよ」
「そうだろ、うらやましいだろ」
「パス、もう一人の妹の方はどうなんだ?」
「それは、まあいろいろあるよ紫乃とも仲が良さそうだし」
蹴ったボールは再び明後日の方に向かっていってしまった。
「ごめん、取ってきて」
「俺に向かって蹴るんだぞ、
悪いが俺と
今度は左足でパスである。。
「あと、この間
「完成したし配信にも乗ったぞ。なかなかうまくいったから」
「俺も手伝ったけど、基本的に
「なんか最近元気なのはお前のおかげか。かわいい子が喜ぶとやっぱりいいな」
「妹も似たような感じで別だけどファンだし、似てるんだ」
部屋に行ったが俺にとって完璧な部屋だが結構インパクトあったぞ。あと、
スイッチ入るとぞくぞくさせられるし。しかし決して口には出せない。さすがに秘密は守らなくては、
『ミルク』LOVE仲間だし。
「へい、黒田パス。最近青波さん朝見るぞ。」
「朝、学校来てんの?黒田が見るくらいだから七時台か」
「何してるか知ってる?ヘイパス」
「多分ギターの練習してんじゃないかな、最近、背負ってるの多分ギターだし」
軽音楽部に入部したのだろうか。朝なら練習も人がいないしやりやすいが、意外な一面を知った。そもそも学校でまで練習するのは非常にすごい。
「金彦お前、ピアノ結構できるんだろ。ギターはできないのか?」
「俺はギターやったことないよ。ピアノは最近腕が鈍ってるかも」
両足パスが終わったので次はドリブルしながら前にパスを出しあいながらやるやつである。ペアを変えなくてはいけないので誰としようかなと思っているとめっちゃチャラいチャラチャラな
軽音部の
「かっねひっこくーん。わしとやりましょか」
「いいよ。やろう
「そやないねん。わし見てたのばれまっか。白状すると、君ら青波さんのことぎょうさん話してたやろ。わし最近朝教えてんねん。」
「青波と朝ギターの練習してるの?」
「そやねん。わし頼まれたでな、やり方教えてくれってな。とうぜんまずは簡単弾き方から教えとるがな。あんたも興味はありまへんか?」
青波はギターの練習をしてるなんて知らなかった。
橙士郎(とうしろう)はギターどころかベースも歌もできるから初心者に教えるなんてお茶の子さいさいなのだろう。
いろんな人の助っ人に行くぐらい多彩であるから、すぐにうまくなりそうだ。
「俺は最近『ミルク』に忙しいから、美術部の活動もなんか忙しそうだし難しいかな」
「ほんまか、金彦。ならしかたへんな。いつでも誘ってや。相手したるで。いや、あんたほどピアノできるならわしが逆に教えてもらうほうかいな。はっはっは」
「ほなやりましょか」
走りながら斜め前に向かってパスを出す。橙士郎も俺に向かってボールを返してきた。
「ヘイパス、金彦」
「ほら、橙士郎へいパス」
意外と相性が良い。楽器ができる人は運動もできるのだろうか。割とうまくいったのでコンビの中はばっちりである。列の最後尾に戻ってきた。
「あとな、聞きたいことがあるんやけど」
「なにが聞きたいの?」
「金彦、青波さんと付き合ってへんのか?」
突然橙士郎がすごいことを言い出した。間違いなく付き合ってはいない。しかしなんでこのことを聞いてきたのか。
「付き合ってないよ」
「ほんまか、ならわしと青波が付き合ってもええか?」
ええええええええ。橙士郎はめっちゃチャラし簡単に彼女ができまくっているが俺に聞かな良くてもいいだろうに、
しかしなんだかもやもやする。
どう答えようか迷っていると、さらに橙士郎は話してくる。
順番が来た。俺と一緒にボールを運び出す。
「聞いたで、なかがいいんだってな。家に遊びに行ったってな」
「確かに行ったぞ」
「でも最近は全然話していないみたいやろ。きっとわしに惚れてまうで」
「ヘイパス、『ミルク』好き同士仲良くやってるつもりなんだけど」
「足りひんよ、わしに惚れてまうで、ええか」
ええのか、青波が誰と付き合おうと青波の勝手だが、なんだかもやもやする。しかも何でよりにもよって橙士郎なのか。
チャラいがクラス委員長をするくらいいい人でもあるし、いいのか。いや良くないのか。
俺は橙士郎の蹴ったボールを盛大に空振りしてすっころんだ。
背中を強打してしまった。普通に痛い。泣きそうである。ひじもずきずきする。
「大丈夫か、金彦」
橙士郎はすぐに駆け寄ってきた。橙士郎のやさしさが心にしみる。
「保健室に行きましょか、立てるか?金彦。まずは水で洗いましょ」
「大丈夫だよ、一人で行けるって」
「わしが連れていったるで、安心せい。ちょっとくらいわしに頼ってや」
「ありがとう、橙士郎」
俺は保健室に一緒につれていってもらう。歩けるが、気分が落ち込んでいた。やってしまった。
普通に風が傷口にしみる。保健室への通りに道に元気づけるためか話かけてきた。
「わしに青波が惚れないように気をつけるわ。でも気を付けや。時間稼ぎくらいしかできへんで」
凄い自信である。しかし、彼にとっては事実なのだろう。
こんなにチャラいのにいざという時にこんなに気軽に行動できるのはすごい。友達として好きになってしまった。
「ああうん、ありがとう」
俺は結局何に対してありがとうしたのだかわからないが、間違いないのは橙士郎はとてもチャラいだけではないということだ。
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モチベ上がりますのでよろしくお願いします。
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