長くて濃い二日間
オタクに優しいギャルが存在するのか
今日も朝が来てしまった。目覚ましの音で目が覚める。今日は朝から体育である。俺は眠くて仕方がないが制服で行かなくていいのは楽である。
ささっと着替えて電車に乗るためにホームに立つ。いつも大体おんなじメンバーがいるが、見たいことのない人がいる。
なんだか俺と同じ体操着を着たギャルがいた。
誰だ、あれ。
俺を見るや否やこちら側に歩いてやってきた。
顔をよく見ると紫乃であった⁉一体どうしてこんなことに。なんかあったのか。
「あはよう、
「おはよー、
「あ、あげー
「ち・が・う・よ私はしのっちだからね、アゲーーーー!」
終わりである。もしかしたら夢かこれ。紫乃がどうかしてしまった。
ただ面白いので写真を速攻で撮る。あとで見せてやろうか。
「プロデューサー、今日はしのっちのことどうしたい?え、好きにしたい?困ったなぁーでもプロデューサーのためなら何でもするよ。キャハハ」
「俺プロデューサーなのか。そうだな、まずは電車に乗ろうか」
電車が来たので乗る。いつもならドアの近くに誰かいるのだが俺の右も左もそっと人が離れていっている。
近くにいた小学生すらなんだか感じ取ったのだろうかいつもより遠い。
「プロデューサー、乗らないの?キャッハハ!」
ボタンを押して電車に乗る。顔をあげた知らない乗客だがスマホを見る前にもう一度二度見をした。
きれいな二度見だった。
誰だってギャルが乗ってきたら驚くだろう。
「プロデューサー、私にはためらわないで。いいよ、なんでもしたげる、キャハハ!」
ここで気づいた。これは昨日の『ミルク』が配信で育成していたギャルである。
昨日「ミルクが夢中なギャルが『ミルク』と相性抜群じゃない⁉」って送ったのだ。確かにミルク並みに可愛かったが。
「かねっち、昨日の夜は何してた?」
「俺は、プロデューサーだから紫乃のことばかり考えてたぞ」
「キャハ、私のことス・キ・ス・ギ私カーワイーキャハ。」
やっぱり紫乃はギャルだったかもしれない。なんかめっちゃ俺のほほをつついてくるし、隣に座っているが寄りかかってきている。
肩と肩がぶつかり合って暖かくなっている。こんなにくっつくとエッチである。
昨日の配信で昨日のギャルは最後ほぼ告白していたが、この状況は昨日の配信の続きっぽい。しのっちにどうにか売れてほしくなる。
「Pっち顔が緩んでますよー、キャハ」
「油断してるな、顔が開いてるぞ」
俺のほほをやたら突いてくるので俺も紫のほっぺをつつき返す。もちもちしていてやらかい。ついでにつまんでみると、やらかい。
話しているとととにかく笑いまくっている。あとかねっちかねっちって言ってくる。そしてアゲーを多用してくる。
ギャル像が俺と一緒である。さては昨日の配信しかみてないな。まあ楽しいので続けるが。周りは気にしたら終わる。
「かねっち、私のこと誰も見たところないとこまで連れて行って、キャハハ」
「しのっちが行きたいところなら俺はどこまでも連れていくよさあ、行こうか」
俺はしのっちの手を握って未来へ「ドア」へ連れていく。最寄り駅についた。さあ行こう、世界を取りにいかないと。ドアが開くまで待つと手を紫乃がはなさない。電車から降りると、紫乃は話かけてきた。
「夢の時間はおわりよ。私ギャルになってたかしら。」
「すごい、ギャルだったぞ。俺は初めてギャルと会ったし。なんかつい乗ってしまったけど。オタクに
やさしいギャルは実現するんだな」
「きっと金彦は私のこと気に入ると思ったの。昨日わざわざ見せてきたわね。金彦が望むなら何度だってやってあげるわ…キャハッ」
まだギャルが紫から抜けていないのだろうか、慣れないことをして話し方が戻ってきた。
「またギャルが戻ってきたぞ。今日は一日ギャルで行くのか?」
「そうね、ちょっとかがんで歩きなさい。キャハッ」
しゃがんで歩くと歩きずらい、ここまで来るとさすがに同じ学校の人も多い、見られると恥ずかしくて若干公開しているのか。
「止まって、かねっち」
ちゅっ。
今右ほほに何か当たったような。いや、わかっている。犯人は、紫乃である。何が起きたかを言語化するために、口に出す。
「今のは、キス…?」
「かねっち、ギャルはキスくらいあたり前にするよ。こんなことで恥ずかしがるなんて童貞なんですかー、キャハ」
一体紫乃はどこからギャルを拾ってきたのか。キスくらいしてなかったぞ昨日。くらいじゃやんねえよ。多分、ギャルならやるか。
俺はギャルの知り合いも友達もいないが。実はギャルになりたいのだろうか。
「紫乃、ちょっと。」
話かけようとすると紫乃は走って学校に行ってしまった。
体操着だから走りやすいが。やっぱりミスったのでは、俺はキスされた右ほほを触ってみるとキスされたことが現実っだと思い起こされる。
もしかしたら紫乃は俺のこと好きなのか。
ただ忠実にギャルを実行しただけなのか、謎は深まるばかりであった。
キスされたという事実だけが残る。
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