さらなる画力向上をめざして
美術室へ一瞬だけデート
俺は丸山金彦である。Vtuberにはまってから最近なんだか退屈だった生活が変わってきている。特に青波の役に立てたのがうれしい。
俺は何にもできないかもと思っていたがずいぶんあちらこちらふらふらしている。高校と家の往復だけの生活から配信が加わったことで紫乃ともずいぶん頻繁に話すようにもなった。
昔はよく話していたが最近は全然仲も良くはなってきているはずである。
青波はよく話が合うし時々豹変するがたまたまだろう。毎日が「鏑木ミルク」によって好転している。
これからも俺の嫁である以上応援しなければならない。高校も少しだけ楽しみである。
鏑木ミルクの新衣装発表配信があった日から何日か過ぎた。なんだか俺は元の生活に戻りかけていた。
別に楽しいからいいのだが、なんだか物足りないのである。そんなことは高校生にとって当たり前であるが。
俺はいつものように墨田と炭彦と一緒に昼食を食べていた。
「これを見てくれよ。『鏑木ミルク』の新衣装配信の切り抜き。」
俺は切り抜き動画を再生させて二人に渡す。
「これがどうかしたのか?金彦が好きなのは知ってるが」
「今映ってる動画を見てくれ。なんとそれは俺が考えたんだ」
「知ってるって、何回目だよ。嬉しいのはわかったから、もしも暇ができたら俺も次は絵をかいて投稿しれ見るかもしれないぞ」
「僕も夏なら描いてみてもいいかもしれませんよ。夏なら腹筋を見せることができますからね。
水着には腹筋がよくにあう。」
「もうおんなじこと言ってるじゃないか。そういえば今日は炭彦はサラダチキン食べてないんだな。」
「さすがに毎日サラダチキン食べてるわけではないですよ。
今日は高野豆腐を代わりに食べてますから」
炭彦が見せてくれた高野豆腐は普通においしそうであった。
「ところで金彦、部活いってるのか?なんかそろそろなんか始めるんじゃないのか」
あいかわらず、カロリーメイクを食べてる墨田に言われたくないがなぜ美術部の活動内容を把握しているのだろうか。
しかも今日はノーマル味ではなくフルーツ味を食べている。スポーツドリンクも買ってるし、運動が終わったら食べるか飲むかすればいいのに。
弁当の量を増やしてもらえよ。
「俺は相変わらず、幽霊部員だぞ。最初は行ったけどな」
「暇なら僕と筋トレ一緒にやらないかな?」
「いや、それは遠慮しておくよ。趣味が筋トレみたいな人と一緒にやると何にも持ち上がりそうにない」
「まあそれならそれでいいが有馬さんがなんかいったたぞ、全然こないって。」
「えっ紫乃がそんなこと言ってたのか。別に気にしなくてもいいのに」
確かに部活はさぼりがちだが活動自体はそんなに毎日行かなくても問題ない緩い感じである。行く人は毎日いるが。
しかも紫乃も俺と一緒にサボっていたりしているし。
「俺もそのうちいくからさ。まあ別に問題ないって。」
「そんなこと言ってると、呼び出されるぞ。週に一回くらいでもいいだろ。絵もなんだか好きだろ。」
「確かに青波さんに協力したが、俺が全部書いたわけではないし」
この会話はフラグになってしまったのだろうか。昼休みにも関わらず放送がなった。
「キンコンカンコーン。美術部の丸山金彦君至急職員室まで来てください。繰り返します丸山金彦君。職員室まで来てください。」
「ほら、いけよ。なにをやらかしたんだ金彦」
「僕もなにしたんだか気になりますね。あとで教えてくださいね。」
しかたがないので職員室に向かう。俺はいったいなんで呼びだされているのだろうか。
何もしていないはずなんだが。学校にも来てるから特に何にもないはずなんだが。
職員室にたどり着くとそこには顧問の先生が待っていた。
「丸山君、君はここ最近部活に顔を出していないじゃないか。
ただ美術部が嫌になったのかと思っていたがどうやら別に絵を絵を書くことは嫌いじゃないみたいじゃないか。
有馬さんから話は聞いたぞ、ファンアートを協力して書いたんだって?たまには顔を出したらどうだい?」
まったくもって正論である。普通に部活にはいった方がよい。何となくいかなかっただけであるのだから。これは断り切れない。
「今日の放課後行きます」
「分かった、ちゃんと来るんだぞ」
最近サボっていたが行くしかない。先輩もいるし紫乃もいるので若干気まずいが行くことにした。
放課後になった。退屈な授業を終えて帰りの準備をしていると紫乃が俺の近くにやってきた。
「金彦、あんた今日は来るでしょ。先生に呼び出されてなかったかしら」
「あっ、そうえば行かなくちゃ。約束してしまったし」
「ほら、行くわよ」
紫乃は俺の手を引っ張って美術室へと連れていく。そんなに強く手を握らなくてもいいのに。紫乃はどうしても俺を部活に連れていきたいらしい。
普通に痛いので手をぶんぶんふったが効果はなかった。
なんだかクラスメイトの視線を感じるが気のせいだろうか。
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