なんでも着てくれる幼馴染
気分がよくなったので他の服も持ってくることにした。少し攻めて見るか。
サイバーチックなえっちな服を持ってきた、これで近未来コーデである。
渡してみると一瞬目を大きく見開いていたがこれで良いのだろうか。
更衣室で着替えていたが先ほどとは一点すぐに出てきた。
「まあ、センスはあるんじゃないかしら。あんたの好みは分からなくなったけど、私は受け入れるわ。」
「ありがとう?」
これは褒められているのだろうか。センスがあると言っているのだからきっと気に入ってくれたのだろう。おそらく。
まだ何か言いたげだったが着替えずこのまま出てきた。
「とりあえずこれも買うわ。」
「ちょっと、お腹すいたわね。会計を済ませて来るから、店の外のベンチにもすわってなさい。」
よほど気に入ったのだろうか。どうやら着て帰るようである。この服を選んだ俺が言うのも難だが、これはさすがにださいんじゃないか。
「さあ行くわよ、フードコートに。私のことを描きなさい。」
「紫乃のことを書けば良いのか?」
「違うわよ、私の服装を書きなさい。せっかく着てあげてるんだから」
確かに今日はなんのために来たのか、目的は絵を完成させるはずである。今日は紙とシャーペンがあるからこれでかける。
食堂につくとさすがに何も注文しないのも気まずいのでアイスクリームを注文した。まさか、抹茶を頼むとは驚きだった。
チョコアイスを頼んだのは軽率だったか、昔はチョコだったが好みが変わったのだろうか。
「後でそのチョコレート頂戴」
「いいけど、抹茶なんてすきだったか?」
「私最近抹茶にはまってるの。あんたも一口食べるかしら」
「もらおうか」
言われてみれば抹茶なんて最近全然食べていなかった。どんな味だったっけ。
席に座ると紫乃はタブレットを取り出した、真剣に書いている。
装備は貧弱だがこちらも負けじと書くがやはり実物がいると家に引きこもっているよりも書きやすい。
目の前にいる紫乃の姿を参考にして書くとあれほどうまくいかなかった絵がすいすい描けていった。
「今いい感じじゃない、ちょっと見せてみなさい。」
「ほらよ、まだかきこまないといけないけどな」
「交換ね、私の見て参考にしなさい、きっと勉強になるはずだわ」
そういって紫乃は立って隣に移ってきた。やはりタブレットは関係なく、服の特徴がうまくかけている。今日の服装がそのまんまかけているのはすごい。
「ちょっと、アイス溶けかけてるじゃない」
「私にそのアイスくれるんでしょ。手が離せないから口に入れて頂戴、早く。」
食べようと掬って口に近づけたとこで言われたのでちょうど掬ったアイスを口に入れる。
体ごと近づいていてどんだけ食べたいのだろうか。
「やっぱり甘いわねチョコレート。おいしいわ。あと二口頂戴」
「わかったよ、その抹茶もくれよ」
チョコアイスをまた口にいれていると紫乃の顔がにやけている。
抹茶からチョコだともう最初からチョコを選んどけばよかったのではないかと思うが、喜んでいるならそれでいいだろう。
「私の抹茶もお返しにあげるわ、口を開けなさい」
「はい、あーん。どう、もう一回あーん」
すごくよく顔を見てきて口にアイスを入れてくる。
抹茶おいしいけれどチョコの方が正解であった。
ただチョコを風味がのこっているのか、抹茶アイスはいつもより甘く感じた。
時間も絵を描いていると結構立っていたので、電車に乗って帰ることにした。一緒に駅まで歩くが明らかにいつもよりも視線を感じた。
「なんかじろじろ見られてないか?」
「私がかわいすぎるからよ、金彦が選んでくれた服を着てるからかわいさが倍増して
町中の心を鷲づかみにしちゃってるの。私って罪な女だわ…」
別にじろじろ紫乃がみられるのは日常茶飯事であるが、今日は幼稚園児にも指をさされている。
母親がなにか言っていた園児をたしなめていたが、本当に問題ないのだろうか。服装以外はいつもの紫乃だから、この服を着せてしまった俺に責任がある。
「これ着ろよ、紫乃」
俺は来ていた上着を紫に着せる。これ以上町の視線を紫乃に集める訳に行かない。
「あら、私別に寒くないわよ。いらないわ」
「これ以上紫乃を目立たせたくないんだよ。今紫乃のことを見ていいのは俺だけだからな」
「どうしてもっていうんなら仕方ないわね。」
どうにか説得できて上着を着せることができた。無難な恰好になってしまったがこんなにみられることが意味するにちょっとだいぶ個性的な目立つ服なのだろう。
少し肌寒むさを感じながら駅まで歩いた。
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