②
夏休み明け一斉テストの結果が返って来た。
各学年、各科、各コースの成績上位者10名の名前と点数が、両校舎の間にあるエントランスホールに張り出された。
お昼休みに突入し、そのエントランス部分に大勢の生徒が集まっている。
「ちーちゃん7位、さっちゃん8位、二人とも凄いっ、おめでとう!」
「それはこっちのセリフ。緒方に10点も差をつけて、ダントツ1位!」
「雫~、おめでとう!」
「さすが、我らの雫様」
「もうっ、やめてよ」
緒方奏斗が悔しそうに雫たちを見ている。
雫に勝つために、夏休み中勉強をしていたのかもしれない。
けれど、雫の集中力は桁違いだ。
幼い頃から培ってきた負けず嫌いの根性と、ここぞという時の勝負強さ。
そして、目標を達成するまでたゆまぬ努力をし続ける持続力は怪物クラス級。
「雫先輩」
「あっ、……津田くん」
「1位、おめでとうございます」
「……ありがと」
土曜日のデートぶりだ。
「食べる時間なくなるから、テラスに行こうか」
さっちゃんがウインクして来た。
雫がはて?と首を傾げた、次の瞬間。
右手に圧迫感が……。
「今日は俺も、南棟の学食にします」
「……ッ?!」
津田くんが南棟の学食を食べようが、お弁当を持参しようが、そんなことはどーでもいい。
何故だか分からないが、私の右手が彼にぎゅっと握られている。
「あ~もうっ、見せつけちゃって~!彼氏に会いたくなって来た」
「私も~!尚理、お昼休みに入ったかな?電話してみよっと」
さっちゃんとちーちゃんは自身のスマホで彼氏に連絡を入れ始めた。
すれ違う生徒たちの視線が、繋がれている私の手元に集中する。
「つつつっ、津田くんっっっ」
「雫先輩有名人だから、こうでもしなきゃ心配なんすよ」
「は?」
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