②
「津田くんだっけ?悪い人には見えなかったけど」
「……そうだね。見た目と違って、お辞儀もちゃんとしてたし」
「婚姻届にはビックリしたけど、まぁあれはウケ狙いの冗談だと思うし」
「あの手のノリはあまり免疫がないけど、雫を立ててるところとかはポイント高いよね」
「そうそう!初対面であんなハッキリ言う人、なかなかいないよ」
男子との免疫も恋愛の経験値も豊富な二人が、ジェラート食べながら雫に微笑みかける。
「雫はどう思った?」
「……どう?と聞かれても……」
人生初の出来事尽くしで、昨日から頭がついて行かない。
というより、今日だってまともに顔を見れなかった。
彼からの視線は感じていたものの、顔が引きつって普通にすることすら難しかったのに。
「明日も来るかな~?」
「来そうじゃない?」
「来たら、何聞こうか。雫のどこが好きなのかとか、今までどんな子と付き合ったのかとか大事だよね」
「アジア大会で準優勝って言ってたよね」
「来年のオリンピック強化選手とも言ってたよ」
「白修館のHPチェックするから、咲良は空手連盟みたいなやつググって」
「おっけー」
「ちょっと、ちーちゃん、さっちゃんっ!」
「まずは情報収集しなきゃ」
「彼がどんな人なのか、知りたくない?」
「……」
知りたくない?と聞かれても、こそこそと探るみたいでちょっと。
けれど、在校中にプロ転向する生徒も多いスポーツ特進科に通うくらいだから、きっと有名だと思う。
だって、空手のアジア大会と言えば、オリンピックと言っても過言じゃない。
日本発祥(琉球)の空手は、柔道と並んで御家芸と呼ばれるほど、日本選手のレベルは物凄く高い。
その代表として出場するだけでも、トップクラスのアスリートだ。
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