3章 俺には十分すぎるほど、可愛いっすよ?
➀
「咲良、今日バイト?」
「今日はない。明日はあるけど」
「じゃあ、どこか寄ってく?」
「行くいく!雫の対策もしたいしね~」
「たっ……ぃさくって……何?」
「いいからいいから」
「雫は黙ってついておいで~」
リュックを背負うと、両腕を二人にがしっと掴まれた。
うわぁ……強制連行だ。
昨日に続いてランチの時のアレを言っているのだろうということは分かるけれど。
対策も何も、私にはどうこうしようだなんて考え、微塵もないのに。
「駅前のルーナに行こ」
「ルーナ久しぶり~」
ジェラートの世界大会で優勝したジェラート職人がプロデュースする本格的なお店だ。
旬の素材の味を活かして、一年中豊富な種類のジェラートが楽しめる。
残暑厳しい9月上旬。
雫たちはルーナを目指して教室を後にした。
*
「さっちゃん、ありがと~」
「メロンと巨峰だったよね?」
「うん、てんきゅ~」
オーダーをちとせに任せて、場所取りは咲良というのが定番。
雫はオーダーした品を席に運んだりするのが主な役割。
雫はジェラートが盛られたカップを置き、腰を下ろす。
雫はラムレーズンと夏限定のスイカ。
ちとせは濃厚バニラにビターコーヒーのシロップがけ。
咲良は赤肉メロンと巨峰のジェラート。
味を別々にすることで、シェアするのも雫たちの定番だ。
「雫、スイカちょっとちょーだい」
「いいよ~」
「咲良のメロン、ちーにも一口」
「ん」
カップをテーブルの中央に並べて試食会。
「やばっ、メロンの香りが鼻に抜けるよ」
「スイカは食べやすいかも」
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