ちーちゃんや仲のいい子たちに合コンをセッティングして貰っても、全戦全敗。

 連絡先を交換しても、何回かのメッセージのやり取りがいいところで、既読スルーする人もいる。

 中にはブロックまでする人もいて……。

 高校二年が終わる頃には、『諦め』というスキルを身に着けた。


「間に合ったぁぁ~~っ」

咲良さくら、おっそいよっ」

「マーくんに朝から絡まれて」

「またお泊りしたの?」

「来週、ゼミの合宿で会えないってうるさくて」


 階段を駆け上がって来たもう一人の親友、北島きたじま 咲良。

 身長164㎝、体重43kg、B89、W58、H88のダイナマイトボディの持ち主で、性格は頼りになる姉御肌。


 大学生の彼氏がいて、彼女もリア充さん。

 咲良にベタ惚れで、頻繁にお泊りをおねだりするらしい。


 咲良の両親は離婚していて、今は母親と二人暮らし。

 しかも、その母親は某会社の社長さんで、出張が多く家を頻繁に空ける。

 一人で留守番をする事も多い彼女は、料理の腕がピカイチ。

 よく焼き菓子を作って来てくれる。


 この二人と肩を並べると、ますます卑屈になる。


 せめて、妄想の中だけでもイケメンに恋したいと、少女漫画やイケメン育成アプリにハマり……最近の癒しは二次元の世界。

 視線の先にいる男子高生のように、妄想で日々支えられているようなものだ。


「あっっっつ~~いっ!シャワー浴びて来たのに、今すぐシャワー浴びたいっっ」

「さっちゃん、下着見えちゃうよっ」

「あーいいよ、見たけりゃ見れば」

「え……」


 汗ばむのが気持ち悪い咲良は、短いスカートをパタパタと煽ぐ。

 色気と反比例して、男前な性格でもあるのだ。

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