④
放課後の教室。
「今日、どっか寄って帰る?」
「あ、ごめん。今日、本屋さんの日」
「あっそうか、今日は1日だもんね」
「……うん」
「雫が、イケメン王子と出会えますように~~♪」
咲良が両手を翳し、雫に念を送る。
「さっちゃん、ありがと」
「じゃあ、また明日ね」
「また明日」
「雫、バイバイ」
毎月1日発売の月刊コミック。
これがお目当てなら、近場のコンビニでも手に入る。
私のお目当ては、その月刊誌を受取りに行った際に、未発掘の
コミックだけでなく、小説やDVD、ゲームに至るまで、大手の書店内を隈なくチェックするのが楽しみの一つ。
私の生き甲斐を熟知している親友二人と、駅前の交差点で別れた。
雫は駅前の交差点を渡り、書店を目指す。
アスファルトの照り返しもあって、体感温度はかなり高い。
日陰を求めながら足早に先を急ぐ。
書店の自動ドアをくぐると、一気に冷気に包まれた。
「涼しい~」
思わず声が漏れ出すほど。
「いらっしゃいませ」
陳列するスタッフの後ろを横切り、一目散にお目当てのコーナーへと。
「えっ、コミカライズになるの?!」
コミックが陳列されている棚に広告のポスターが貼られていて、好きな絵師さんがコミカライズの担当になったことを知る。
約一年ぶりの作品だ。
これは、絶対に予約せねば。
**
大収穫があった雫はルンルンで書店を後にする。
何軒もお店をはしごしたお陰で、戦利品を幾つもゲットできたのだ。
駅へと向かっていると、スマホのアラームが鳴る。
「アルディ様の時間だ」
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