④
翌日の昼休み。
迷いなくおろし蕎麦を注文した咲良は、トレイに乗せられたおろし蕎麦を手にして『席取っとくね』とアイコンタクトを取る。
「ちーちゃん、決まった?」
「うーん、10日までって書いてあるから、冷やし中華にしようかな」
「早くしないと食べる時間なくなっちゃうよ?」
「分かってるって」
ちーちゃんは、ちょっとマイペースで優柔不断なところがある。
特に食に関しては、すぐに迷子状態。
自動販売機の前で『神様の言う通り~』と、占い始めることもしばしば。
彼氏の尚理くんは、そんなちーちゃんのことが放っておけなくて、いつも世話係。
中学部は一緒だったけれど、ロボット工学を学びたいと、高専へと進学した。
二人がいつから付き合ってるのかは知らないが、相思相愛で絵に描いたような美男美女だ。
「やっぱり今日はきつねうどんにする!」
やっと決まったらしい。
席に着いた頃には、さっちゃんのおろし蕎麦が半分ほどなくなっていた。
「いただきまーす」
「いただきます」
五目炒飯(スープ付き)にした雫は、レンゲで炒飯を掬った、その時。
「あっ……雫、津田くん来たよ」
「んっ?!」
雫の肩がビクッと震える。
さっちゃんの視線の先を辿るように顔を横に向けると、片手を上げた彼がこちらへ颯爽と歩いて来るではないか。
「っちわ」
「ご飯食べて来たの?」
「はい、速攻で食べました」
「お弁当なら持ってくればよかったのに」
「え、一緒に食べてもいいんすか?」
「別にいいよね?」
「……私は大丈夫だけど」
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