第5話幼馴染の手作り弁当1

あぁそう言えば。そうだったな。俺と姫埼夢歌は、小学校からの

幼馴染だった。なんで、今まで覚えていなかったんだ?

まぁ、幼馴染と言っても。クラスが6年間一緒なだけで

特に話すような関係性じゃなかったと思う。俺は

自分の家の中にいる。姫埼さんを見つめる。

今の姫埼夢歌は、めちゃくちゃ可愛いけど。

あの時の小学生の時の姫埼夢歌は、どうだったけ・・・・・・

あの頃の記憶を思い出そうとすると、俺の目の前にいる。

姫埼夢歌が、俺に声をかける。「それにしても、大野くんって

キレイ好きだっただね」「へ?」姫埼さんが、俺の今の

姿を見つめながら。話だした。「そのエプロンは、大野くんの

なの?」「あぁ、そうだけど・・・・・・」戸惑いながら

答える。「日曜日は、いつも掃除をしているの?」

「あぁ、そうだよ。うちの母は、そ・・・・・・の・・・・・

こういうのめんどくさい人だからさぁ」「こういうのって?」

「ほら、掃除とか。料理とか。洗濯とかの家事全般がめんどくさい人

 なんだよ」「なるほど。なるほど」何かに納得した表情の姫埼さん。

「でも、大野くんのお弁当は作っているよね?」姫埼さんが、次の

質問をしてきた。「あぁ、あれは・・・・・・・。母が『八真の弁当だけは

絶対に、私が作るから』って。入学式の時にそう宣言したけど。

結局めんどくさい方が勝っちゃって。それが、今の有様なんだよね」

姫埼さんに言うのが、ものすごく恥ずかしい。俺の頬が熟成した真っ赤な

リンゴのように赤く染まった。俺の話を聞いた。姫埼さんは、自分の顎に

左手を添えて。何かを考えだしている様子だ。しばらくの間。沈黙が流れた。

すると、姫埼さんが突然。変な事を言ってきた。「じゃあ。私が作るよ」

「はい?」「私が、大野くんのお弁当を作るよ。自分のと一緒に」

「・・・・・・。へ?」今、姫埼さんは何を言ったんだ。確か、俺の分の

 弁当を作るって。言っていたよね・・・・・・。いやいやいやいや

それはダメだろう。「どうしたの?」「いや。それはいいのかな?」

「なにが?」姫埼さんの小首が傾く。「いやだって。姫埼さんの

負担がかかるし。それに、姫埼さんに変な噂がたつかもしれないし・・・・・・」

「変な噂って。例えば?」「それは・・・・・・その・・・・・・。俺と

 姫埼さんが付き合っているんじゃないかって・・・・・・」

「・・・・・・」「・・・・・・」「あぁーそう言う事ねぇ。大丈夫だよ」

姫埼さんが、大きく言葉を発した。「だって、私たち。幼馴染なんだよ」

「あぁ、そうだけど・・・・・・」その事は、他のみんなは知らないはずだけど。

「あぁ、でも。大野くんのお母さんが困るよね。大野くんのお弁当作るの。

 私が奪う事になるから」「それは大丈夫だよ」「本当に?」「うん。うちの

 母はむしろ。姫埼さんに感謝すると思うから」俺がそんな事を言うと

 姫埼さんがクスクスと笑っていた。「まぁ、いちよう。聞いてみるけど」

「うん。わかった。じゃあ、もしお母さんがいいって言ったら。私のLINEに

 連絡してね」と姫埼さんとLINE交換をした。その日の夜。母は即答で

「いいよ」と言ったので。俺は、その日の夜にLINEで姫埼さんに「母が

いいって。即答でOKがでたので。よろしくお願いします」とLINEで

そう打つともの数秒で「了解‼」と返事が返ってきた。姫埼さんの既読がつくのが

早すぎる。そして、姫埼が送ってきた。OKのLINEスタンプが可愛いかった。

それは、柴犬が前足を額につけ。敬礼のポーズをとる。スタンプだった。

こうして、明日のお昼は姫埼夢歌特製の手作り弁当になった。憂鬱な月曜日が

楽しみに変わった。瞬間だった。

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