番外編 姫埼徹は決意する。

「これは、まずいぞ・・・・・・」妹の部屋に仕掛けた。

 盗聴器で、二人の話を聞いた。「これは、まずい。

 まずい事になる。確実に・・・・・・」妹の部屋に

 盗聴器を仕掛けた。理由は、妹に変な虫がつかないように

 したい。そんな理由がベストアンサーだと思う。俺は

 妹が大好きだ。それは、別に異性としてではなく。

 妹としてのラブなのだよ。妹が生まれた日の事は

 今でも鮮明に覚えている。そう、うちの両親よりも

 鮮明に覚えている。あれは、確か。そうだ。あれは

 夏なのに肌寒い日の事だった。その日の夕方。

 母に陣痛の前触れが訪れた。その日は、父親は

 仕事でいなくって。当時四歳の俺は、母が突然

 お腹を抑えて、その場に倒れるので。俺は

 四歳で「お母さんが死んでしまう」と思った。

 母のお腹の中に、俺の弟か妹がいる事は知っていた。

 (当時は、どっちが生まれるのか。俺は知らなかった)

 母は、お腹を抑えながら。俺に「大丈夫よ。これはね。

 赤ちゃんが出てくる。合図なの」と俺に言った。

 母は、手際よく。まずは、父に陣痛が来たと伝え。

 今から、病院に行くと伝え。俺を連れて、タクシーで

 病院まで行った。その後、すぐに母は「じゃあ、今から

 赤ちゃんを出してくるね」と言い。俺を置いて。

 分娩室に向かった。その後すぐに、父が病院に来て。

 「徹。お母さんは大丈夫か?」聞いて来た。

 四時間後に「おぎゃーおぎゃー」と大きな鳴き声が聞こえ。

 俺と父は、急いで分娩室に向かった。看護師さんが

 抱きかかえる。赤ちゃんを俺に見せる。「元気な女の子だよ」と

 言って来た。俺は、赤ちゃんの妹の顔見て。自分の頬が赤く

 染まっていた。その頃から、俺は妹への愛が芽生えた。

 もちろん。これは、決して。異性としてではなく。

 妹としての愛情である。だから、俺は許せないのだ。

 俺のマイシスターが、あの大野八真に盗られるのではないかと

 不安なのだ。今、あいつは妹の部屋にいる。そして、どうやら

 妹の専属の編集者になるらしい。これはまずい。

 俺は、耳に付けていた。ヘッドフォンを外し。

 机に肘を乗せ。両腕を顎の乗せ。一呼吸吐き。

「あの男を妹の興味から。外さないといけないなぁ」と

 呟く。妹の興味を他人に向けさせない為にしないといけない。

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