第11話彼女は書いていた2

「落ち着け。俺・・・・・・」家の前で、立ち尽くす。

俺は深く深呼吸をした。「すぅーはぁーすぅーはぁー」と

何回も、何回も吸っては吐き。吸っては吐くのを繰り返す。

「よし」と自分の頬を手で思い切り叩き。気合を入れ。

扉の横のインターホンを鳴らす。すると「はーい」と

インターホン越しから。姫埼夢歌ひめさきゆか

声が聞こえる。「あっ、どうも大野です・・・・・・」

俺は、よそよそしい声音で答えると。姫埼さんが

「ちょっと待ってて」と言い。インターホンから

 声が聞こえなくなり。その数秒後に、扉が開き。

「いらっしゃい。大野くん」と俺を迎えいれる。

 姫埼さんの格好は、モコモコなルームウェアを

 着た。姫埼さんが、俺を迎える。「ごめんね。

 本当は、学校の帰りに読んでもらおうと思ったけど。

 初めて人に読んでもらうから。一度見直してから。

 大野くんに読んでもらいたくて」「いや・・・・・・

 大丈夫だよ。姫埼さん」そう、本当はあの時。

 姫埼さんが、ラノベを書いているって言った。

 あの時の学校終わりに、姫埼さんの書いた。

 作品を読むはずだったけど。姫埼さんが、あの時

「あのね。大野くん」「何?姫埼さん」「やっぱり

 今度の土曜日でもいいかな?」「えっ⁉」

「私、自分の書いた作品を誰かに読んでもらうの

 初めてだから。清書したいの」姫埼さんが、真剣な

 眼差しで。俺の顔を見るので。俺は「わかった。土曜日は

 部活動があるから。終わってからでもいいかな?」

「うん。わかった。待ってるね」そう言い。姫埼さんは

 自分の鞄を持ち。「じゃあ、今度の土曜日に家で」と

 言い。そのまま帰った。その当日、部活帰りに

 姫埼さんの家に向かい。俺は、近くのコンビニで買った。

 アイスを姫埼さんに渡す。「はい。これ、姫埼さんの分ね」

「えっ⁉」「いつも、俺の分の弁当を作ってもらってるから。

 ささやかなお礼をと思って・・・・・・」照れ臭くなり。

 俺は、コンビニで買った。アイスを姫埼さんに渡した。

 すると姫埼さんは、自分よりも小さな手で俺からアイスを受け取り。

 「ありがとうね」と礼を言う。その言葉を聞いただけでも

 今日の練習疲れが吹き飛んだ。「じゃあ、中に入って」姫埼さんが

 俺を家の中に入れようと促す。「じゃあ、おじゃまします」俺は

 姫埼さんに促されるままに。姫埼さんの家の中に入る。

 考えてみれば。同い年の女の子の家に入るのって・・・・・・。

 初めてだった。

 

 


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