第30話 子供っぽいところ

「ふーっ、なんかいつも以上に美味しかったね」

「2人でいれば美味しさも2倍ですね」


「午後はどこ行く?」

「……思い付きませんね」

「ショッピングモールってたくさん店あるのに意外と行きたいところ無いよねー」

「こういう時はまたネットで検索してみましょう」

「いっぱい候補出てきてもっと困りそう」

「それは私のこと侮りすぎですよ」


~2分後~

「どう? 1つに絞れた?」

「……」

「やっぱり無理なんじゃん」

「……」


 私が言った通りの現状になってしまい、時雨はちょっと拗ねてしまった。

「そんなに拗ねないでよーっ」

「……」

最近意識しているのであろう笑顔も忘れて、頬を膨らませてそっぽを向いている。


「ごめんね、頭撫でるから許してっ」

頭を撫でることで説得を図ろうとする。


「何回言えば分かるんですか? 私は子供じゃないんですよ?」

「時雨はなんか勘違いしてない?」

「何を勘違いしてるんですか?」

「私は別に時雨のことを子供扱いして頭撫でてる分けじゃないんだよ」

「そうなんですか?」

「頭を撫でるっていう行為は人を安心させたり、愛を感じさせる効果があるらしいからまだ新しい環境に慣れてない時雨にちょうどいいかなって」


「私のこと、そこまで考えてくれていたんですね」

「もちろん。私の大切な専属メイドだからね」

「……これからどこ行きますか?」

なんとか時雨を説得することかできた。

普段はあまり見せてくれない時雨の子供っぽい一面が見られただけでも今の会話に大きな価値があったと言える。


「とりあえず適当に歩こっか。そのうちいいところ見つかるでしょ」

「はい」

少し時雨の返事がいつもより明るい気がした。





 今はフードコートを離れ、2人で目的地も無くぶらぶらと歩いているところだ。

「ただ歩くだけでも時雨が隣にいると楽しいね」

「私も楽しいです」


「時雨はゲームセンター行ったことある?」

「何度かありますね」

「最近は?」

「行ってないですね」

「じゃあそこにあるから遊んでいかない?」

「ぜひ遊びましょう」



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