第13話 放課後、メイド服
~放課後~
「一緒に帰ろ~」
「はい」
「時雨と一緒に帰るのは初めてだね」
いつもは1番仲の良い紗理奈と2人で帰っていたが、今日からは時雨も一緒だ。
家も一緒だから途中で別れる必要も無い。
「ねえ結月、時雨ちゃんのこと見てると頭撫でたくなっちゃうこの気持ち、分かってくれる?」
「それ分かるー」
「2人して何ですか急に」
「帰ったら頭なでなでしてあげるね」
「別にそんなことしなくてもいいですよ~」
「ううん、私がやりたいんだよ」
「……ちょっとだけですよ」
「ずるーい、私もなでなでしたーい」
「私は時雨のご主人様だからね。私の特権だよ」
「別に頭撫でるってだけで特権を主張する必要無いですよね?」
「だめっ、時雨は私のなのっ!」
「結月は独占欲強いね」
「もう結月の家の前来ちゃったね」
「時雨と一緒に帰った感想は?」
「ずっと一緒の結月が羨ましい」
「どうしたの時雨、頬が赤いよ」
「……別になんでも……」
時雨は褒められるのに弱いんだ。これは使える情報だね。
「じゃあまた明日、ばいばーい」
「また明日会いましょう」
「じゃあね」
紗理奈と別れ、家の長い庭を時雨と歩く。
庭がこれほど広いのははっきり言って少し不便だ。
……不便だと思っていた。
でも今は時雨と2人だけの時間を作ってくれることに感謝の念すら出てきた。
屋敷の中に入り、部屋の方へ向かって廊下を歩いていく。
「さて、これからメイド服姿の時雨を拝ませて貰おうかな」
「ちょっと緊張しますね、初めてのメイド服」
「時雨は可愛いからきっと似合うよ」
「……」
また時雨が赤くなった。
まるで褒めることをスイッチに光る電球のようだ。
「メイドさんが時雨の部屋の前にメイド服用意してくれてると思うから着替えたら私の部屋に来てね」
「はい」
部屋のドア前には段ボールの箱が1つ置かれていた。
この中にメイド服が入っているのだろう。
とりあえず段ボールを持って部屋の中に入る。
そのまま鞄をベッドの上に置き、段ボールの方へ意識を移す。
テープなどで止められているわけではないので道具を一切使わず普通にあけるだけだ。
そういえば、私の体にちゃんと合うサイズなのかな?
私の身長やウエストなどを西園寺さんが、ましてや他人が知っているはずがない。
「とりあえず出してみますか」
中にはきっちりと折り畳まれたメイド服が入っていた。
服の両肩の辺りを掴んで段ボールから出して全体を確認してみた。
「なんだか、スカート短い?」
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