第42話 心の奥底に眠る感情

~テスト最終日 放課後~

「テスト終わったー!!」

「2人ともお疲れ様」

「西園寺さんはすごく余裕そうですね」

「実際余裕なんだろうね」


「皆でカラオケだー!」

「そういえばカラオケ、いつ行くかまで決めてなかったね」

「あれ、今日行く予定じゃなかったんだ……」

「どうしますか西園寺さん」

「今日は2人とも疲れてるだろうし、明日行かない?」

「それもそうだね。じゃあ明日の楽しみにとっとく」


 そのまま特に何事もなく帰宅し、部屋着に着替えた。

今日はテストを頑張った時雨をたくさん褒めてあげよう。

そう心に決め時雨の部屋へダッシュした。


「時雨ー! テストお疲れ……さ……」

「……」


 そこに立っていたのは今まさにメイド服を着ようとしていた下着姿の時雨だった。


「ひゃぁぁっ!!」

「ごめっ、うおおっ!」

時雨はびっくりして手の届く範囲にあった枕を投げつけてきた。


「びっくりした……」

そんな言葉が私の口から漏れるが、びっくりしたのは時雨の方だ。先ずは謝るべきだ。


「ごめん! ノックしてなかった」

「い、いえ、だっ、大丈夫です。私こそ枕を投げてしまって……」

「なんかお互いひきずりそうだからこの件は事故ってことでおしまい!」


「ところでどのようなご用件が?」

「いや、着替えながらでいいよ」

「ではそうさせていただきます」


「とりあえずテストお疲れ様。勉強頑張っててすごく偉かったよ」

「はい、ありがとうございます」


「テスト勉強ですごく疲れたでしょ」

「まあ、心身ともに疲労がたまりましたね」

「じゃあ着替え終わったらベッドに座ってくれる?」

「はい」


 着替え終わった時雨がベッドに腰かける。ベッドに座れといったのは今回は私だが前と似たシチュエーションだ。


「お疲れ様ー!」

「うわわっ」

頭をわしゃわしゃと撫でながら時雨を抱き締めた。突然の行動に驚いてはいるが、嫌がる様子は微塵も感じられない。


「……ふふっ、ありがとうございます」

時雨が透き通るような笑顔でそういった。


 今度は時雨の方からも私を抱き締めてきた。

つまり今私たちは恋情燃える熱いハグをしている。


「その調子だよ時雨。何か自分の気持ちの変化は感じられた?」

「はい、すごく感じました。私は心の奥底でずっと求めていたんですね。愛情を」






























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