第39話 テスト直前の緊張感
「今日はやけに足取りが重いですね」
「テストやだよー時雨ちゃん。私の分もやってよー」
「めちゃくちゃなこといいながら抱き付いてこないでください」
今日は中間テスト1日目。紗理奈の足取りが重くなるのも納得だ。
それにしても、最近紗理奈と時雨の距離が凄く近い気がする。
私たちは付き合ってないということで通しているからもしかしたら時雨を狙っているのかもしれない。
やだーーーーっ! 時雨を取られたくないよーーーーっ!
時雨は私の家で雇っているので私の元から離れることは無いだろうが、心は紗理奈の方へ向いてしまうかもしれない。
私と2人でいる時間も時雨は紗理奈のことを考えているかもしれないと思うと嫉妬で頭がおかしくなりそうだ。
いや、大丈夫。悪い方に考えるな私。時雨の方も好きとまではいかなくとも絶対に意識はしてる。
「時雨は今回のテスト、どれくらい自信ある?」
「高校に入学してから初めてのテストなのであまり自信はありませんね」
とりあえず時雨に次の話題を持ちかけて話の流れを変えた。
「紗理奈は自信ある?」
「結月にいっぱい教えてもらったから自信ありありだよ」
「じゃあ有理数と無理数の違いって何か覚えてる?」
「……えっと、有理数は……分数で表せて、無理数は表せない……みたいな感じだっけ?」
「√7は有理数か無理数どっち?」
「んーっと、1分の√7は分数に直せないから……直せないよね?」
「もしかしたら直せないかも」
「なーにーそーれー」
「それでよくこの高校に入ろうと思いましたね」
「結月と一緒に居たかったから入った。それ以外に理由は一切無いかな。将来やりたいことも決まってないし」
「確かにまだ自分が将来何をして生きるのかって想像もつきませんよね」
「結月は明確な目標があるから勉強のモチベーションも高いんだろうなー」
教室へ入り、荷物を整理して机上に今日テストを受ける教科の教科書を用意した。
「2人とも~、私も一緒に見る~」
「はい、一緒に確認しましょう」
「私は確率には自信あるからそこで何とか点とりたいな」
「中学のころから紗理奈は数学の中で確率だけは得意だったからね」
「お願いだから確率の問題いっぱい出題されててー」
「ほぼ無いでしょうね」
「えっ、なんか時雨ちゃんがドライ……」
「そうですか? それはすみません」
「時雨も緊張してるね」
「私は歴史がちょっと怖いです」
高校入学後初めてのテスト。やはりどれだけ対策しても心配なものは心配だ。
「そろそろホームルームだね」
「ですね」
「赤点はやだよー」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます