第34話 才能感じちゃうよ
「私はこっちでやるね」
「なら私はこっちでやりますね」
このエアホッケーも1回100円でプレイできるようだ。……利益出てるのかな?
「ここのは何点先取なんですか?」
「7点って書いてあった」
「それでは、先行決めましょう」
「うん、負けないよっ」
「最初はグー」
「最初はグー」
「じゃんけんぽんっ!」
「じゃんけんぽんっ!」
時雨はパー、私はチョキだった。
私の勝ちで私が先行でこのゲームは始まることになった。
「じゃあいくよ」
「はい」
時雨の方のゴールを狙って思い切りパックを飛ばした。
「甘いですよっ!」
時雨はそう来るのは分かってましたと言わんばかりに思い切り返してきた。
「うおっ」
普段の時雨からは想像もできない威力で放たれた一撃に反応できず1点目は時雨に渡すことになってしまった。
「見た目に反して結構アグレッシブだね」
「見た目に反しては余計です」
「そうだ、ここからの先行後攻はどうする?」
「点を取られた方が先行でいいんじゃないですか?」
自分が点を取っておいてそんなことを口にできるということは、時雨には相当余裕があるようだ。
「いくよ。ていっ!」
「ふんっ!」
「わああっ」
「はあっ!」
「ああっ……」
「そいやっ!」
「無駄です」
「またやられちゃった」
「これで後1点ですね」
「もう時雨6点目なの!?」
「あなたには後がありませんね」
「このサーブを最後にはしないっ!」
「ここで終わらせます」
「おっとっと」
「これで最後です!」
私がガードに集中して打ち返してゆっくり時雨の方へ向かったパックを全力の一撃で打ち返され私は敗北を喫した。
「2対7かー、結構ボコボコにされちゃったなー」
「私、結構エアホッケーいけるかもしれません」
「エアホッケーの時雨はほんとに強かった。才能感じちゃうよ」
私に大差をつけて勝利したことで本人は隠しているつもりなのだろうが、隠しきれていないどや顔が時雨の顔に表れていた。
どや顔の時雨も可愛いから負けても全然悔しくなくなっちゃった。
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