第6話 結月の父親
「もう多分お父さんは帰ってるかな」
「今から会いに行くんですか?」
「お風呂入る前だし、ちょうど良いでしょ」
「そうですね」
「お父さんも優しい人なんですか?」
「うん、凄く優しい」
「厳しい人じゃなくて安心です」
「お父さんは結構明るい人だからその辺は考えなくて大丈夫だと思うよ」
さっき西園寺さんの母親を訪ねた時とはまた別の場所へ向かって歩いていく。
「これが済んだら一緒にお風呂入ろうね。メイドさんが準備してくれてるところだから」
「はい」
ん? 西園寺さんは今、一緒に入るって言った?
いや、きっと気のせいだ。
でも、そんな勘違いをする私って……もしかして西園寺さんの事……。
「ここだよ」
西園寺さんが指差したドアをノックする。
「お父さん? 紹介したい子が居るんだけど」
「どうぞ」
ドアの向こうから聞こえてきたのは包み込むような温かい男性の声だった。
声からもいい人なのがひしひしと伝わってくる。
「入るね~」
「失礼します」
「ほら、自己紹介して」
「初めまして、西園寺結月さんのクラスメイトの星宮時雨です」
「こちらこそ初めまして、私は
この人もなかなかに若く見える。見た目では30代くらいだ。
西園寺さんの家族はなぜこれほどに若く見えるのだろうか。
母親は西園寺さんの実の母親だとすると、最低でも30代後半辺りだと考えられる。
父親の洋介さんはもっと上だろう。
スキンケアとか色々意識しているのだろうか。
私もメイドとして恥ずかしくないように色々意識してみようかな。
「この子を私の専属メイドとして雇いたいんだけど」
「いいよ」
こちらも当然のようにOKされた。
私を見た上でもOKしてもらえるということは、私なら問題無いと思ってくれているのだろうか。
だとしたら明日からかなりいいスタートを切れそうだ。
「結月は結構わがままだから苦労するかもだけど、ぜひよろしくね」
「はい、全力でよろしくさせていただきます」
「時雨、何か日本語変じゃない?」
「そうですか?」
「じゃあ、紹介終わったから部屋戻るね」
「ああ」
「失礼しました」
「お嬢様の両親、本当に優しいですね。仲も良くて、とても幸せな家庭を築けているようですね」
「うん、私が産まれた時からずっとこんな感じだったよ」
西園寺さんと私の部屋の前の廊下まで戻ってきた。
「それじゃあ、一緒にお風呂入ろっか」
「えっ」
「どうかした?」
一緒にというのは聞き間違いではなかったようだ。
しかし私はさっきはいと答えてしまっていた。
「時雨も準備できたら私の部屋の前に来てね。待ってるから」
「……はい」
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