第36話 テスト目前の3人

~テスト1週間前~

 紗理奈、時雨、私の3人でいつもの様に下校している。

高校初の定期テストが目前に近づいてきて多少気持ちが騒いでいる。


「時雨ちゃんはちゃんと勉強とかしてるの~?」

「もちろんしていますよ。高校に入ってから初のテストですからね。対策はいくらしても足りないくらいです」

「時雨ならきっと大丈夫。努力家な時雨の頑張りは絶対結果に出てくるよ」

「ですよね。そう思うことにします」


「そういう紗理奈は勉強ちゃんとしてる?」

「……マッタク」

「そうだと思った。受験もノー勉で受けた紗理奈が定期テストで勉強なんてしてるわけないよね」

「あはは、多分大丈夫だよ」


 紗理奈はとにかく勉強することを嫌っている。

私たちが通っている高校は偏差値56くらいだったはずなんだけど、紗理奈は受験勉強も全くしていなかったらしい。

流石に裏ではやってるよね? 紗理奈の将来が心配だよ……。


「伊藤さんはもっと危機感を持った方がいいですよ」

「高校入っても勉強してないやつ、危機感持った方がいいよ。なんてね」

「何かのネットスラングですか?」

「さあ? よく覚えてない」


「ねえ時雨」

「なんですか?」

「今日一緒に勉強しない?」

「はい、やりましょう」

「分からないところとかあったら教えてあげるね」

「西園寺さんは頭がいいので私から教えられるところは残念ながら無さそうですね」

「結月は凄いよね~。中学時代のテストの平均490はあるんじゃない?」 

「多分あったんじゃないかな」


「私も本気で勉強したら結月みたいになれるかな」

「ノー勉で今の高校受かってるし、本気で勉強したら多分できるんじゃない? 紗理奈って地頭は良さそうだし」

「私は2人には敵いませんね」

「でも私時雨ちゃんに点負けてるじゃーん」

「小テストの話ですけどね」

「そんなに自分を卑下しないで。時雨ちゃんはたくさん勉強してて偉いんだから」

「努力では才能に敵いませんよ」


「勝つ必要なくない?」

「え?」

「別に負けたら死ぬわけでもないし、無理して勝とうとしなくてもいいんじゃない?」 

「……そうですね。私は少し勝ち負けにとらわれすぎていた様です」

紗理奈がなんかそれっぽいこと言ってる。勉強嫌いの紗理奈だからこそ出てくる言葉なのだろうが。


「時雨ちゃんって人から愛される才能は絶対あるよねー」

「私は時雨のこといっぱい愛してるからきっとそうだね」

「……私にそんな才能があればブツブツ」

「ん? 時雨何か言った?」

「いえ、気のせいです」


「今日はちょっと用事あるから無理なんだけど、明日は3人で勉強会やらない?」

「どうしますか? 私は良い提案だと思います」

「2人がいいならやろっか、勉強会」


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