第15話 料理チャレンジ
いきなり私に課せられた試練、料理。
何を作れば良いんだろう。
まさか自分で何を作る考える状況になるとは思っていなくて頭の回転が鈍る。
「困ってるね~。ほんとに何でも良いんだよ。料理を選ぶセンスとか見てるわけじゃないから」
「本当ですか?」
「ほんと」
「信じますよ?」
「信じていいよ」
私に相手の考えていることを読むようなスキルは備わっていない。
ここはおとなしく岩永さんの言うことを信じることにしよう。
今ここには私の岩永さんの2人だけしか居ない。
つまり私が作った料理を食べるのは岩永さんで間違いないだろう。
西園寺さんに岩永さんの好みでも聞いておけばよかった。
今の時間なども考慮すると、おやつとかその辺りが良さそうだ。
まずは手を洗ってから冷蔵庫の中を確認してみよう。
置かれているのはレストランとかの厨房にありそうな業務用の冷蔵庫だ。
扉を開けて中を確認すると、たくさんの野菜、肉、果物などが入っていた。
「冷蔵庫まで豪華ですね」
「それだけあれば結構幅広い選択肢があるんじゃないかな?」
「はい、色々考えられます」
「ほんとに何でも使っていいんですよね?」
「うん、何でもいいよ」
岩永さんへ念押しの確認を済ませ、冷蔵庫から牛乳、卵を取り出す。
「ケーキでも作るのかな?」
「お楽しみですよ」
次はホットケーキミックス、ボウル、泡立て器を用意した。
泡立て器も電動の物が採用されているようだ。
従来の電動でない泡立て器は、私の場合腕が疲れて次の日に筋肉痛になってしまう。
我ながら貧弱な腕だ。
「スイーツとか作ったことあるの?」
「何度かあります」
「ふむふむ」
ボウルにホットケーキミックスと溶いた卵を入れて牛乳を少しずつ入れて電動の泡立て器で混ぜていく。
しっかり混ざった事が確認できたらボウルにラップをかけて冷蔵庫に入れる。これは30分~1時間ほど入れておくのがいい。
次は冷蔵庫に入っていたいちごを取り出す。
今は6月。いちごの旬はもう既に過ぎ去っているが、酸っぱくないのだろうか。そこだけが懸念点だ。
いちごを食べやすい大きさに包丁でカットしていく。
その後はホイップクリームを準備し、切ったいちごもホイップクリームも冷蔵庫に入れておいて、さっきの生地が冷蔵庫に入ってから30分経つまで待つ。
しばらくは岩永さんと会話をすることになりそうだ。岩永さんとは話していて楽しいし、威圧感も無いので話しやすい。
今からの時間も苦痛にはならないだろう。
「時雨ちゃんはいちごのクレープを作るんだね」
「流石に分かっちゃいますよね」
「私もプロみたいなものだからね」
「私の料理の仕方に問題はありませんでしたか?」
「うん、全く問題無いよ。凄く手際も良かったし」
「ありがとうございます」
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