第44話 今日はカラオケ
「今日は午後から紗理奈とカラオケだね」
「楽しみです」
「時雨はカラオケ行ったことある?」
「残念ながらありませんね」
「そっか、なら初めてのカラオケをいっぱい楽しもうね」
「はい」
「時雨は何着ていくの?」
「カラオケって体を動かしたりするんですか?」
「……」
無知。圧倒的無知。
本当に時雨は高校生なのかと疑ってしまう。これまでいったいどんな環境で暮らしてきたのだろう。
シングルマザーの時点で良い環境でないことは想像に容易いがそこまでとは予想外だ。
「体は動かさないかな。まあ盛り上がったらちょっとはあるかもね」
「それなら服装は自由で問題なさそうですね」
今は昼食を終えいよいよカラオケ店へ向かうところだ。
「時雨は白のワンピースにしたんだね」
「せっかくあなたに買ってもらった服ですし前のパーカーみたいに活躍の機械を与えるべきだと思いまして」
「やっぱりよく似合ってるね。私の目に狂いは無かったよ」
「西園寺さんは本当に優れたファッションセンスをお持ちですね」
「私は昔から結構服にこだわるタイプだったからね。自信はそれなりにあるよ」
今日は通学路とは別の方向へ歩いていく。時雨は良い笑顔で私と手を繋いでいる。
しばらく歩き続け、紗理奈と待ち合わせしている場所に着いた。既に紗理奈はウキウキで待ち合わせ場所に待機していた。
「2人とも遅いよ~」
「紗理奈が早すぎるんだよ」
「まだ待ち合わせ時間の15分前ですよ」
「そんなこといいから早く行こっ♪」
「時雨ちゃんの服可愛い~。清楚な雰囲気が溢れ出てるよ」
「西園寺さんが選んでくれた服なんです。センスいいですよね」
「よーし着いた」
「ここでカラオケが楽しめるんですね」
「さっそく入ろ」
「いらっしゃいませ」
「3人で3時間パックお願いしまーす」
学生のバイトっぽい店員に部屋まで案内された。クーラーが効いていてとても涼しい。
「ごゆっくりどうぞ」
「あざーす」
ソファーもふかふかで座り心地がいい。3時間ずっと座っていてもお尻への負担を気にする必要もなさそうだ。
そして私は喉への負担も心配が無いようにのど飴と喉スプレーを持ってきた。
これなら明日声が枯れることはほぼ無いはずだ。
「よし、3人で思いっきり歌おう!」
「おっ、結月も今日はテンション高いね」
「私も頑張ります」
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