第23話 娯楽を叩き込む

「うーん、そうですね」

考えながら部屋に何かできるものがないか確認する。

その途中で目に入ったのはテレビの隣に置かれているのは少し前に流通が安定し始めた最新のゲーム機だった。


「これ、持ってたんですね」

「逆に今日まで気づいてなかったんだね」

「西園寺さんってゲームとかするんですね。ちょっと以外です」

「まあそこまで本気でやってるわけじゃないけどね。ほんとに私はゲームをただの娯楽として見てるから」

「熱中しすぎるのも良くないのでそれくらいがちょうど良いかもしれませんね」


「色々持ってるけどどれやる?」

「私はゲームをあまりしたことがないのでどれがいいのか良く分かりません」

「うーん、どうしよ。……パズルゲームとかやってみる?」

「やってみたいです」

「じゃあ、コントローラーはこれ使って」


 西園寺さんに渡されたコントローラーは少し大きく、私の手には収まりきらない。


「このコントローラー大きいですね」

「それは私も思う。前のバージョンのコントローラーの方が使いやすかったんだよね」

「前のコントローラーは使えないんですか?」

「それができたら良かったんだけどね」

「改悪ですかね」

「使う人次第かな」


「そういえば、ニーハイの色の件だけどさ」

「はい」

「黒って大人っぽいイメージだから時雨には白の方が似合ってると思う」

「遠回しに私が子供っぽいって言ってますよね」

「……ま、まあ、黒はまだ履いたところ見てないし、実は黒の方が良く似合うっていうのもあるかもしれないよね」

「ずいぶん早口ですね」

「……」


「このゲーム、パズルが2種類あるんですね」

「私はこっちのゼリーみたいなパズルにしようかな」

「なら私はこっちの小さいブロックがくっついたパズルにします」




「このスティックで動かして、上に入力すると一瞬で落ちてくれるよ」

「なるほど」


「たくさんコンボ決めて時雨にアターーック」

「下から急に灰色のブロックが生えてきましたよ!?」


「あっ、落とす場所が1つずれてました」

「初めのうちはそれよくやるんだよねー」


「死んじゃう、これ以上積むと死んじゃいますよー」

「じゃあちょっと待ってあげようかな」

「あっ、置き間違えて死んじゃいました」

「あはははっ」


「いやー、楽しかった~」

「こんなに思い切り笑ったのは久しぶりです」


「そろそろ別のことする?」

「色々やりましょう」

「時雨に色々娯楽を叩き込んでいくから覚悟しといてね」

「はい、覚悟します」




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