第7話 義母との確執

なんとか二人とも順調に学業を進め、研修も終わり資格試験にも合格した。

束の間の休息、学生生活最後の一年は研修に模試に試験勉強と心休まる時間がなかった、その間は彼女も不思議と不安定になる事はなく、多少の波はあるが以前のような泣き叫ぶ事は無くなった。

資格試験合格後、私たちは本格的に同棲を始めることにした。今まではお互いマンションを借りておりどちらかの家に住み、片方のマンションは寝る、もしくは荷物を置く専用になっていた。新社会人になるにあたり今まで契約していたマンションを引き払い新しい新居へと移り住むことにした。

マンションを借りるのには保証人が必要である。本人たち以外、別住所に住んでいる成人一人の承諾が必要になった為、私は彼女の両親に頼んでみてはと相談をした。私は地方から出てきた事もあり両親は近くに居らず気軽に来れる距離でもなかった。そのため彼女に相談したが何故か間を置いたのちに「お母さんに相談してみるね」と呟いた。声はか細く微かに震えているようであった。そうか、過去に虐待を受けたんだったな、配慮が足りなかったと思いながらも他に頼れる人が居ないため彼女の母に頼むことにした。


とある喫茶店で待ち合わせをする。予め彼女から「かなり変わってる人だけど気にしないでね」と言われていた。カランとドアを開けるとともに鈴の音が鳴り一人の女性が私と彼女が座っている席の向かいに座った。

「貴方ね、私の娘の家に住み着いてる男ってのは、何を考えているの!私の娘は家政婦やお手伝いさんではないのよ!」、、


開いた方が収まらなかった。何を言えばいいのか直ぐに出てこなかった。初対面の人に何故こんな風に言われないと行けないのか、苛立ちより恐怖の感情が勝っていた。私は震える声で

「◯◯さんとお付き合いさせて頂いてる私と申します。挨拶が中々できず申し訳ありませんでした。今日はお忙しい中来て頂いてありがとうございます。」との言葉しか出なかった。その瞬間彼女が「いきなりそんな言い方はないんじゃないの!失礼にも程があるでしょ、大人なのに分からないの?」と母親に訴えかけると応じるように母も反論し私の横でケンカが始まってしまった。私はただその二人の言い合いを見ていることだけしかできず時間だけが過ぎていった。


結論から述べると保証人になってもらう事はできたが彼女の母親の存在に良い印象は覚えず今後会うことが不安でしかなかった。

この母親が私を含め周囲の人の人生を大きく狂わせる存在になっていくのであった。


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