第16話 誰のせい、

妻の母親と話をする。わたしはてっきり頭ごなしに怒鳴られると思っておりある程度の覚悟をしていた。しかし、義母からは「あの子"また"したのね。迷惑かけたわね、」と話されとても驚いた。義母の言葉が思った反応では無かったこともそうであるが「また」と言う事も知ることになった。

当時妻が高校卒業した後の事。大学受験に失敗し浪人生活をしていたという。その時に精神面が不安定になり母親の服薬していた睡眠薬を過量服薬、いわゆる、ODしたというものだ。義母は落ち着いて話をしてくれわたしを労ってもくれた。結婚前に危惧していた事とはこの事も含まれていたらしい。わたしは義母と相談し交互に病院へ行くことにした、お互い仕事があるため毎日は休めないが休みを被らせないことはできる。意識はないかもしれないがその間お見舞いをしたり今後のことを医師と相談することはできる。目を覚さない妻のもとに足を運んでは髪の毛を解きほぐしたり、顔を拭いてあげたり何かするたびに涙が出て来た。なぜこんなことになったのか、こんな事を2度と起こしてはならないと言い聞かせていると妻が目を覚ました。意識は朦朧としているようだがわたしを見つめ何かを呟き涙を流していた。


担当の医師から身体的治療は後数日で終了するが根本的な心の問題は解決できていない為精神科病院への転院を勧められた。連れて帰りたい気持ちももちろん合ったが同じ事を繰り返してはお互い辛いだけであり義母と相談し転院で話を進めることになった。妻にも話をしたがうなづくのみで本当に理解しているのかはその時は分からなかった。ただ、行きたくない、入院したくないと訴えていることはひしひしと伝わった。辛いがわたしも今後を共に生きるパートナーとして決断をした。

数日後わたしの住んでいる市からはかなり離れるが転院をする事ができた。まいにちお見舞いはできないが、時間が許す限り会いに行こう。面会時間も決まっていない為長い時間側にいてあげよう。そう考えていた。


妻の差し入れの依頼などを支度している時にふと妻な携帯電話に目が入った。そういえばあの日から見てないから連絡が溜まってるんじゃないかな、せめて職場だけにでも連絡しないとと考え携帯を手に取る。

この行動が全てを変える事になってしまう。

見ない方が幸せだったのかもしれない。

何故見てしまったのか、今でも思い出し後悔している。次回は少し長くなるがその件について記載したいと思う。

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