第24話 夫婦間の価値観のズレ

 妻はほとんどの時間を家で過ごしていた。病気という事もあるが一応傷病手当を頂いている為バイトもする訳にもいかない。正式にはしてもよいのであるが、差額は返金しないといけない。めんどくさい手続きを踏む事もあり就労はしなかった。その事に関してわたしは何も思わなかったが、妻は入院以前に計画していた新婚旅行を計画していた。

 わたしは正直考えられなかった。え、今?と思いつつもやる事がない為色々考えてしまうのは仕方ないとしよう。だが、この状況で新婚旅行を計画するのは違うのではないかと考えていた。しかし、その事を告げるのが怖かった。少しでも前向きに物事を考えているのにそれを妨げてしまうのではないか、それは妻の精神面の回復過程にわたしが横槍を入れてしまう気がして何も言えなかった。


 妻の行動はエスカレートしていった。流石に事が大きくなった為浮気をする事はなく、疑わしい行動もなかった。その当時わたしはクレジットカードを所有していたが妻には「家族カード」と言いわたしのクレジットカードと同様に使用できるカードを持っていた。元々は携帯代金や光熱費、必要経費などを払う為に渡していたが、知らないうちに家に家電や家具が増えていた。それと同時にわたしに請求が来る。妻に使いすぎじゃないかな?と話した事もあるが、暮らしていく上で必要になるから、と話すのみであった。せめて購入する前に一言相談して欲しい気持ちと、払うのはわたしなのにといった思いが悶々とし不満が溜まって行った。


 元々わたしの実家は家業をやっており、経営も上手くいっているとは言い難かった。田舎ということもありお客さんもそこまで多くはない。しかし両親は必死に働いてくれていた。わたしは三兄弟であり学費なども払ってくれ、しっかりと育ててもらった。その中にはお金が充分にない為我慢する事も多かったが、そんな両親を見ていると不平不満など一切なかった。妻は父が公務員、母は大手企業の事務員。お金には余裕がある生活を送っていたようで金銭感覚にもズレが生じていた。わたしが我慢できる事を妻が我慢できない、そんな事も頻回だった。しかし妻も働いていない負目もあるのかわたしがお金を使わない事に関して言う事は無かったが自身が使う事には大きく考えている様子はなかった。


 それから暫くし、浮気相手とのやり取りも時間はかかったが終える事ができた。結論から言うとお金で解決であった。わたしはそもそもお金をくれとは一言も言ってない。誠意のある態度で謝罪をし、きちんと説明をして貰えればある程度は満足できていたのではないかと思う。相手の出方が最悪であった為こちらも高めのお金をふっかけたことは事実だ。実際に入院費用など払う必要もないお金を払う事になったのだ。その時はわたしも冷静ではなく少し感情的になってしまった。しかし、その相手とのやり取りが終えた事で一安心できた。


 人間とは欲深い生き物である。悪いことの後には良い事が待っていると思ってしまう。悪いことばかり続く訳ない。次の更新ではそんな話をしていこうと思う。

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