第13話 結婚と障壁、

私たちはお互い結婚に向けて仕事を頑張っていった。もちろん結婚のためだけではないが二人の活力になっている事は明らかであった。帰省時には両親に暖かい言葉を貰い元気も出た。しかし一筋の光を遮ろうとする壁があることを二人は直視できずにいた、そう彼女の「義母」である。言葉は悪くなってしまうがいわゆる「毒親」と呼ばれる部類で彼女も幼少期に暴力を受け現在の病気の一端を担っていると言っても過言ではない。しかし流石にわたしも彼女の親には内緒で結婚をするというのは倫理に反していることは理解できているが、素直に賛成してくれるとも考えられなかった。


彼女の両親は離婚しており父親は他府県に住んでいるが彼女との関係は良好でわたしにも良く接してくれており結婚の相談も快く了承し応援してくれた。そのお義父さんから見ても義母は昔から変わっていたようで「あいつが納得するかな?」と不安に感じていた。逃げ続けていてもいずれは伝えないといけない、わたしは彼女と相談し市内のレストランに彼女の母親を招待する事にした。

いい結果が返ってくるとは思っていない。最悪反対された場合の事も考えてはいた。私たちは魚レストランに入り義母の到着を待っていた。暫くすると向かいの席に義母が現れ座るや否や「なんだか殺風景な店ね、こんなとこにあんたら来てるの?」と吐き捨てるように言う。出だしからつまづいてしまったが二人で練ったプラン通りに話を進めていき最終的に結婚を前提としてお付き合いをしていることを説明し、近々役所に届出をしようとしている事を話す。

「結婚って簡単にいうけどする事より後のことのほうが大変なんだからね、あんたら二人は今がいいと思ってるかもしれないけどね。別にお母さんは反対しないよ。好きにしなよ」と想像していた返答とは全く違い、

「認めてくださるのですか?」の問いにお酒を飲みながらうなづく。その場では頭を下げ御礼を述べ店を後にする。家に着くと彼女と二人で見つめ合い同時に「良かった」と言い思わず笑ってしまった。その時はただ反対をされる事を前提としたプランを中心に考えていた為キョトンとする事しか出来なかったが帰宅すると喜びが溢れ思わず彼女とハイタッチで喜びを分かち合った。


まさか、義母の言っていた事が今後二人を待っている事を幸せな二人には考える事すらしていなかった。

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