第4話 誰が悪いのか

彼女の状態は日々変化し波が激しかった。ある日は笑顔で友人らとランチをしていたり、またある日は一日中家で泣きながら携帯を見て過ごす日もあった。私も思うことはあったが言ってしまうとすべてが崩れてしまいそうで口にすることはできなかった。見守る事が最善だと思っていた。あの時まで。


ある日のこと、私たちは医療系の学校へ通っており研修がカリキュラムに組み込まれている為度々行われていた。その日は私と彼女は違う場所での研修であった為行き帰りはバラバラであり私が家に着くとまだ彼女は帰っていなかった。次の日が休みという事もあり疲れてるだろうから外食でもしようかな、わざわざ作ってもらうのも悪いし、と考えながら研修レポートを書いていると彼女が帰宅してきた事が直ぐにわかった。物凄い音が玄関から聞こえて何かが割れる音がしたからだ。

私は焦る気持ちを抑えつつ玄関へと向かった。すると彼女が家中に響き渡る声で「なんでご飯の支度してくれてないの?先に帰ってたんでしょ」と私に怒鳴りつけるように叫んだ。私は明日休みだから外食でもと考えていたことを述べるが彼女の耳には届かず「もう知らん。勝手にファミレスでも行ってきたら?」と吐き捨てるように私に告げ寝室へと戻っていった。

私も後を追いかけ予め連絡をしていなかったこと、気が利かなかった事を謝罪するが既に怒りは絶頂に達しており私の言葉は聞こえていないかのように無作為な言葉を投げ続けていた。私にできることは反論せず肯定もせずただただ受け止めるだけであった。

薬を飲ませ、彼女の好きな紅茶を入れ、家にある材料でホットサンドを作るとさっきまでの事が嘘かのように笑顔を取り戻し、一緒にゲームをしようと2人でゲームをした。

あの日から私の行動は常に彼女の機嫌を損ねないように、また、悪くなった時の事だけを考えるようになっていった。

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