私がうつ病になるまで、

轟ミチル

第1話 出会い

「結婚おめでとう!」

「幸せになってね」

私は幸せそうな妻の顔を見る。妻も嬉しそうに私を見て微笑み返してくれる。地元からも大勢友人が式に参列し祝いの言葉を述べてくれる。中にはお酒を飲んで気分の上がった先輩に胴上げされるなど幸せな人生を歩んでいけると思いながら式を終えた。


余韻に浸りながら妻と2人で帰路に着く。結婚式の感想やもっとこうしておけば良かったと思ったことなどを話し合う。家に着くと食事も早々に疲れが出たのか2人とも気がつくと眠りについていた。


話は少し遡る。私が妻と出会ったのは学生時代、田舎から出てきた私は都会の独特な緊張感に包まれながら自己紹介をする。方言が出てしまうとクスクスと笑い声が聞こえ気恥ずかしさを感じながら自分の席へと戻る。

「隣の席だね、よろしく!方言目立ってたね!私はあの挨拶好きだったよ!」と隣の席の女性が話しかけてきた。目鼻立ちの整った綺麗な顔、モデルのようなスタイル、少しハスキーな声をしており私も緊張していた為軽く会釈をしてその場は終えた。


その後日、新入生での食事会があり私も誘いを受けた為参加した。しかし地方から出てきた私にとって気軽に話せる人は少なく、女性が多いこともあり1人で静かにジュースを飲んでいた。

「1人なの?少し話そうよ!」

自己紹介の当日話しかけてくれた女性だ。彼女も少し離れた地域から出てきたらしく友人が居ないとの事もあり意気投合した。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。


私とその女性が交際をするのに時間は必要なかった。同じ趣味、好きなアーティストが一緒という事もあり何度も2人で時間を過ごし楽しい日々を過ごした。彼女のある秘密を知るまでは。


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