第2話 彼女の秘密
私が彼女と交際を始め、程なくして同棲する事になった。驚いたのは彼女の料理の上手さだ。まるでお店のようなレパートリー、味付け、見た目どれをとっても完璧だった。
その日の晩、ふと目が覚めると隣で彼女が寝ている。寝顔も可愛いなと思う。暗くないと眠れないと言うので片腕を目頭に乗せて眠って居た、パジャマの裾がめくれていたので直そうとすると彼女の左腕に数ヶ所切り傷のようなものがある事に気がついた。何本か太い線が入っており傷がみみず腫れのように盛り上がっていた。その日は私も何も触れる事なく見なかった事にし眠りについた。
数日後、彼女が出かけてくると言う為車で最寄り駅まで送って行った。目的地まで行くよと言うが頑なに断り駅まででいいと言う姿に多少の不信感、不安感を覚えた。
数時間、彼女が帰ってきた。私は駅まで迎えに行くと言っていたがタクシーで帰ってきたようであったが、何か様子がおかしい、、
と思って居たのも束の間、いきなり大声を出しバッグやぬいぐるみを壁に投げつけ叫び出した。驚いた私はとりあえず落ち着かせようと声をかけるが届いている様子はなく、ひたすらに泣き叫びそのまま寝室に入って行った。
陶器など割れているものもあったので私はそれらを片付けて処分し、ぬいぐるみなども元の場所に戻していると彼女が投げたカバンの中から大量の薬が出ている事に気がついた。いわゆる精神安定剤だ。
嫌な勘が出てきた私は急いで寝室を開けると彼女がカッターナイフで腕を切っている所を目撃してしまった。泣きながら手を切る彼女、流れ出る血、私はそのまま固まってしまった。なんと声をかけたらよいのか分からず急いで救急箱からガーゼを出し止血をし彼女が落ち着くのを待った。程なくして冷静さを取り戻してくると「ごめんね。昨日の夜私の手を見たよね、見ないフリをしてたの気がついてたんだ。今日行ったのは心療内科。」とポツリポツリと話してくれた。
聞くと幼少期両親に暴力を受け育てられストレスの捌け口がなくそのような行動をしていたようだ。私は話を受け止め。その彼女を受け入れようと思った。
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