第22話 受け入れる勇気

 私は妻の浮気相手と会った。何を話す訳ではないが相手方がわたしと話したいとの事だった。顔も見たくないが仕方なく行く事にした。


 妻は退院し、その日は疲れもあったのか早めに寝ていた。起こさないように着替えをし出かける。待ち合わせは近くのファミレス、わたしが店に着くと相手が誰かを連れて私のところへ来る。そのまま誘導されるように席へ着く。

わたしの苛立っている感情が顔に出ていたのか 浮気相手の横にいる男性が「そんな顔をしないでください。お気持ちは察しますが」と話を切り出す。とりあえずお前は誰だと思っていると名刺を取り出し弁護士を名乗った。浮気相手の男がわたしからの報復を恐れたのか、穏便に解決をしようとしたのかは分からないがどうやら依頼をしたようであった。


 とりあえず落ち着くためにコーヒーを飲む。味など分からない。不安な気持ちのまま話を聞いてみると浮気関係にあったことや今回の一連の騒動の原因となった事は理解しているようでその解決策を弁護士へ依頼したようだ。

 「依頼するのは勝手だけど、まず俺に直接謝ってからじゃ無いんですか?そもそも訴えるならこっちの方なんですけど」と出てしまう。夜ではあるが流石に店内は人気もある。視線が集まってくるのを感じた。弁護士が「今日は顔合わせです。今後依頼者と直接やりとりする事は禁じます。全て代理としてわたしが行います。勿論貴方からの要望などは全てとは言いませんが法律の範囲内、もしくは相場内でなら応じます」と言う。


 わたしは悲しくなった。なんだか妻をお金でやり取りしている気持ちになった。しかし現実的にお金が予想以上にかかった事は事実であり妻が働いていれば手に入るはずのお給料なども全て無くなった為お金は必要だ。今は結論を出さないと持ち帰る事にさせてもらった。


 家に着くと寝ている妻、その顔を見ていると浮気相手と一緒に寝ている姿を思い浮かべてしまいわたしはその場で吐いてしまった。気がついた妻が駆け寄ってくるが「来るな」と強く言ってしまった。妻は驚いた様子をしたが直ぐに着替えとキッチンペーパーなどを用意してくれ、「飲み過ぎたの?大丈夫」と背中を摩ってくれる。その優しさが今のわたしには棘となり刺さってくる。「悪い、少し外の風にあたってから」と言い片付けをし家を出る。


 近くの公園で缶コーヒー片手に思いに耽る。

妻は今後カルマを背負い生きてゆく。わたしといると辛いことを思い出すのでは無いか、それなら退院したいま別れた方がいいのではないか

子供もいない、結婚式の準備だけで具体的にはプランなど組んでいない。二人とも二十代で早い方がいいのではないか。色々考える。遠くから誰かがこちらに来るのが見える。気がつくと妻が寝巻きのまま泣きそうな顔でわたしに気がつくと抱きついてくる。わたしが一人で外に行ったことが不安になったようだ。また、浮気相手と何かあったのでは無いかなど危惧してのようだ。

 とりあえずその日は妻と一緒に帰る事にした。明日も仕事だ、帰ったら寝よう。


  

    ※ 以下本文とは関係ありません

わたしと妻との会話に違和感を覚えた方がもしいればレビューに書いて頂くと幸いです。

最近就職活動をしている為更新が不定期になります。完結まで書きたいので今後とも応援頂けますと嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る