第19話 任意入院と強制入院

皆さんが思う入院とは事故などによる不慮の入院以外医師に事前から入院を勧められ、ある程度準備をして入院をすると思う。私も肺炎で入院した時は一旦帰って荷物をまとめてから入院をした。しかし精神科は「任意入院」と「医療保護入院」がある。警察沙汰となる措置入院は別として考え私の妻は義母と話し合った結果、退院は必ず相談してする事を条件に任意で入院をしてもらうことにした。何が違うのかと言うと行動に制限がある保護入院とは別に、任意は自分の意思での入院になる為外出や外泊などはルールの範囲で自由に行え、退院請求も自己で行える。妻をあまりがんじがらめにしたく無い事もあり任意で入ってもらう事に決まった。


しかし妻はわたしが来ない日は一人で外出などしていないようであった。寝たきりが続いた事で体力的な衰えもあったが精神面が万全では無い為仕方はない。たまに近くの喫茶店に連れて行きパフェなどご馳走すると嬉しそうに食べていた。目に見えて改善してるとは言えないが少しづつでも元気になっていってる姿に嬉しさを感じた。


しかし、任意という言葉は時にわたしを困らせた。仕事が終わり携帯をみると妻から連絡が来ていた。「外泊したい。迎えに来て」との事だった。その時わたしは車は所持して居らず原付きで通勤していた。明日からではダメなのか聞くともう手続きして近くのショッピングモールで待っているとの事だった、急いで近くのレンタカーショップに行き半日レンタルをする。片道40分程度であるが帰宅時間故車が多く中々進まない。妻の元に着く頃には日もすっかり暮れていた。流石にそこで遅くなった事に対して怒ってきたらわたしも色々言いたい事はあったが「わがまま言ってごめんなさい。」と言われてしまうと何も言い返せない。妻はお寿司が好きな為回転寿司に連れて行き晩御飯を済ます。わたしの勤務をアプリで共有していたため翌日から連休だった事を知っていたようで2泊で申請をしたと話す。最近眠れて居ない事や心療内科に通う日でもあるが妻にはバレたくない一心で全ての予定を空白にし妻に合わす。

翌日は映画にショッピング、普段外に出ないため何度も休憩は必要であったが二日間楽しんでいる様子だった。家では妻が居ない間まともに掃除などできて居なかった事が見て分かったようで一緒に掃除をした。また夫婦の営みを久しぶりに行う。妻は「もうしないから。ごめんなさい。」と何度も繰り返していた。そんな妻であるがわたしの愛した人であり大切にすると誓った相手。わたしは笑顔で受け入れる、


その後もいきなり外泊する事が何度かあった。

事前に相談してよと伝えると「断られると怖いから」と返答する。断るわけないのにと思いながら絶対にそうとも言い切れない自分に腹が立つ。やりきれない思いもあったがせめて外泊の間だけは妻に笑顔で居てもらいたいと心から願う。


段々と貯金が減ってくる事も理解して居た。入院費も馬鹿にならない。家賃やその他の生活費もわたしの給料ですべて賄う。なんとかなるだろう。いずれはまた二人で働くといいんだからとその時は思って居た。

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