第25話 急な来客


 昨日と同じように、彩音とともと三人で手を繋いで帰宅する。

 ともが、彩音と二人で話がしたいというので、二人を玄関先に残し、僕は一人で家に入る。

 リビングに入ると、なんと家に知らない人がいた。

 ていうか……誰……!?


 リビングにいたのは、短パンにタンクトップとくつろいだ格好をした若い20代くらいの女性だ。

 足を組んでソファでポテチを食って映画を見ている。

 その態度やしぐさから、男勝りのワイルドな印象を受ける。

 もしかして泥棒……!? 不審者……!?

 けど、泥棒ならこんな堂々とくつろいでないよね……?


 もしかしたら、彩音の側の知り合いかなにかか……?

 でも、僕だけでなんと声をかけようか……。


 迷っていると、僕の帰宅に気が付いたのか、女性が振り向いた。


「あ、もしかして君が噂のシンくん……?」

「へ……? いやまあ、僕はシンですけど……って、そもそもあなた誰……!?」


 って、振り向いた顔をよく見ると、めちゃくちゃ美人な女性だ。

 ……って、ちょっと待てよ……。

 僕はこの人の顔に見覚えがあるぞ……!

 僕はこの人を知っている。


「って、もしかしてマリナさん……!?」

「へ……? 私のこと知ってんの……?」

「当たり前じゃないですか……! マリナさんっていったら、超有名ですよ!」


 マリナさんと言うのは、今人気の新人歌手である「marina」のことだ。

 僕はデビュー前、マリナさんが歌い手のころから応援していて、隠れファンでもある。

 マリナさんはまだ世間的な認知度はそこそこだけど、界隈では有名だ。

 音楽好きのコアなリスナーならまず誰でも知っているというレベル。

 ルックスもいいし、その歌声はほんとうに美しくて、曲もいい。

 だけど、そのマリナさんがなんでこんなラフな格好で、うちにいるんだ……?

 意味が分からない……。

 テレビ番組のドッキリ企画……?


「マリナさん、僕ファンなんですよ……!」

「えーほんと? うれしいなー全然売れてないのに。ありがとうね」

「そんなことないですよ! マリナさんはこれからもっと売れますって!」

「はは、うれしいなー」

「……って、そんなことより、なんでうちに……!?」

「あれ……? 彩音からきいてない?」

「え……? 彩音……?」


 やはり、マリナさんは彩音の関係者だったようだ。

 だけど、いったいうちの彩音とマリナさんになんの関係が……?


「あらためて自己紹介するね? 私は霜月真里菜。今日からしばらくこの家に住まわせてもらうから、よろしくね……? おとうと・・・・クン?」

「はぁ……!? この家に住む……!?」


 い、意味がさらにわからない……!

 いったい何が起こっているんだ……!?


 ていうか、名前、霜月……?

 っていうことは、ええ……!?


 すると、ようやくともとの会話を終えたのか、彩音が家に入ってきた。


「ただいまー」


 彩音がリビングにやってくると、彩音もマリナさんに気づいて、


「あ、お姉ちゃん。もう来てたんだ。はやいね」

「お姉ちゃん……!?」


 彩音は、マリナさんのことをお姉ちゃんと呼んだ。

 彩音にお姉ちゃんがいたってこと……!?

 でも、なんで……? どういうこと……?

 彩音に姉妹や兄弟がいるという話はきいていない。

 それに、僕のお姉ちゃんの、お姉ちゃんってこと……!?


「まって、お姉ちゃんのお姉ちゃん……ってことなの……!? どういうことなんだよーーーー!」


 僕がそう言うと、マリナさんは僕の肩に腕をまわしてきた。

 う……胸が腕に当たってる……。

 マリナさんの胸は彩音のこぶりな胸と違い、かなり大きかった。

 これが大人の女性……。

 ていうか、顔近い……。


「そういうこと。私も君のお姉ちゃんってことなのだ。妹の弟は私の弟でもある。だから、よろしくね弟くん……!」

「えええええええ……!?」


 いきなりすぎる来客に、僕の頭は混乱しまくりだ。




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