第29話 夜這い
姉妹がお風呂から上がって、次は僕がお風呂に入る番だ。
まさかとは思うけど、さすがにもう乱入はしてこないよね……?
お風呂に入ると、なんかいつもよりいい匂いな気がする。
さっきまであの姉妹がこのお風呂に入ってたんだよな……そう思うと、なんだか妙な緊張をしてしまう。
ええい、僕の煩悩よ沈まれ。
とりあえずさっさと身体洗って出よう。
僕は身体を洗って、お風呂から出る。
よかった、彩音の乱入はなしだ。
お風呂から上がると、姉妹はテレビを見ながらソファでキャッキャと楽しそうに雑談していた。
「あ、弟君、テレビおもしろいよー! 弟君もこっちきてみなよ」
「うん」
僕もソファに腰かける。
ソファは3人で座ってちょうどいいくらいの大きさだ。
僕は彩音の横に、少し離れて座った。
「弟くん、なにそんな遠慮して端っこに座ってるの。もっとこっちきなよ」
「え……でも」
すると彩音は立ちあがり、僕をソファの真ん中に座らせた。
そして、彩音は僕の横に座ると、僕は彩音とマリナさんに挟まれるような形になる。
「弟君は一番年下なんだから、真ん中でみなよ」
「えぇ……? 歳関係ある……?」
そっからしばらくテレビを一緒に見るけど、集中できない……!
横をお姉ちゃん二人に挟まれていて、なんかいろいろ当たってるし……。
しかも二人とも、僕の手を握ってくる……なんでだ……。
お姉ちゃんたちの太ももに挟まれて、僕はお風呂上がりだしのぼせそうだった。
「ふふ、弟君、緊張してる?」
マリナさんに聞かれるけど、そりゃあ緊張もするだろ……。
「そりゃしますよ……。なんで僕こんな挟まれてるの……」
「いいじゃんいいじゃん、家族のスキンシップだよ」
「普通の家族はここまでスキンシップしないとおもうけどなぁ……」
ソファで二人に挟まれて、しかも二人はどんどん僕のほうに寄りかかってくる。
胸とか当たってるし、めちゃくちゃ顔も近くて、いい匂いするし、頭がどうにかなりそうだ。
三人でテレビを見たりしてすごして、夜もふけてきた。
そろそろ寝る時間だ。
「じゃあ、弟君、どっちと一緒に寝る?」
「いやどっちとも寝ませんって!」
「じゃあ三人で寝よっか?」
「もっとダメでしょ!?」
「もー弟君つれないなー」
さすがにマリナさんもいるのに彩音と寝るのもおかしいし、マリナさんと寝るのもなんかおかしいだろう……。
「あーでも、お姉ちゃんの布団ないや。誰かは二人一緒に寝ないとベッド足りないね。弟君、私と寝る?」
彩音はそういうが、それならマリナさんと彩音が一緒に寝ればいいだけだろう。
「いや、僕はいいから、姉妹で一緒に寝なよ。久しぶりの再会なんでしょ?」
「うーん、そうだね。私もお姉ちゃんと一緒に寝たいし、今日はそうするよ。ごめんね、弟君?」
「いや僕のことはお構いなく……」
僕は一人で部屋にいき、ベッドに潜った。
しばらくすると、二人の部屋から話し声がきこえてくる。
なんかひそひそと、薄っすら声がきこえてくる。
なにを話しているか、内容まではわからない。
けど、女子のベッドでのトーク、恋バナとかかな……?
なんかこう、薄っすらきこえると逆に気になるな……。
僕はなかなか寝付けないでいた。
しばらくすると、二人の会話もおさまって、どうやら彩音たちは眠ったようだった。
僕もそろそろ寝るかと、電気を消して目を瞑ったころだった。
突然、僕の部屋の扉が開いた。
夜這い……!?
まさか彩音のやつ、マリナさんが寝たからって、僕に夜這いをしかけてきたのか……!?
そう思い、電気をつける。
僕の部屋に入ってきたのは、なんと彩音ではなく、マリナさんのほうだった。
「マリナさん……!?」
「よ。弟君」
なんでこんな時間にマリナさんが夜這いをしかけてきたのかわからないけど、どうなっちゃうの……!?
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