第19話 一緒に寝よ?


 お風呂からあがって、冷静に考えると、とんでもないことになったな……。

 姉弟とはいえ、そんな、普通の姉弟はやらないようなことをやってしまった。

 まさに、一線を越えてしまった。

 いや、まあ「一戦を交える」という決定的な一線はまだ残っているけども。

 それでも、これはなかなか、ヤバいだろ……。

 これからどうしたらいいのかわからない。

 恥ずかしくて、彩音の顔がまともに見れない……。


 寝る時間になって、彩音がまたおかしなことを言い出した。


「ねえ、弟くん、今日は一緒に寝よう……?」

「えぇ……!?」


 昨日は結局、断って別々に寝た。

 だけど、さっきあんなことがあったばかりだ。

 それに、今両親はいない。

 ってことは、このお誘いはつまり、そういうことなのか……?

 僕は大人の階段をのぼってしまうのか……?


「そ、それはつまり……そういうことなの……?」

「うん? そうだよ、嫌かな? 私、今日こそは弟くんと一緒に寝たいんだけど……」

「わ、わかったよ……すぐにいく……」

「やった! じゃあ部屋で待ってるね?」


 据え膳食わぬは男の恥ともいう、それに、彩音がこんなに誘ってくれているのに、無下にするなんて無理だ。

 さっきの興奮もまだ冷めきらない。

 僕としては、一線を越えたとなったら、その先まで想像してしまう。

 ええい、こうなればままよ。

 しかたないよね、だって僕も男の子だもの。

 僕は歯を念入りに磨いて、彩音の部屋へ入った。

 彩音は布団の中に入っていて、布団をはだけて、僕を招き入れる。


「お布団、あたためておいたよ。ほら、おいで」

「うん……」


 布団の中に潜り込むと、すごく暖かい。

 これが彩音の体温だと思うと、なんだかえっちだ。

 彩音が寝ていた布団、なんだかいい匂いもする。

 全身が彩音で包まれているようだった。


「ね、弟くん。目を閉じて」

「う、うん」

 

 言われるがままに目を閉じる。

 直後、僕の唇になにか柔らかいものが触れる。


 ――ちゅ。


「ふふ、お休みのキスだよ」

「お姉ちゃん……」


 今のキスで、僕の中の導火線に火がついた。

 もう、抑えきれない。

 僕の唇は、彩音の唇に、磁石のように吸い付いた。

 

「あん……♡ まだするの?」

「うん、もう一回、キス……」

「いいよ……今度は大人のキスね」


 僕はキスの快感が忘れられずに、何度もキスをねだる。

 こんどは、彩音が舌を入れてきた。

 舌を舌で絡ませて、押したり引いたり、何度も唾液を交換する。

 くちびるを噛んでみたり、くわえてみたり。

 甘い味がなんども口に広がる。

 キス、気持ちいい。

 お互いの気持ちが、舌を伝って伝わってくるような感じがする。

 お互いに、なんども求めあう。

 しばらくして、息継ぎのために、唇をようやくはなす。


「えっち……」


 彩音は小悪魔のように微笑んだ。

 たまらない。

 僕は今すぐにでも、彩音を押し倒したくなった。

 気がつけば、僕は彩音を下にして、押し倒していた。


「弟くん……また、おっきくなってる……」

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