第15話 自家製ASMR


 家に帰って、鞄を置いて、部屋着に着替える。

 ふぅ……やっと帰ってきた。

 マジで疲れた……。

 とりあえずリビングでテレビでも見るか……。


 僕はポテチを食べながら、ソファに座る。

 なんか耳がかゆいな。

 耳かきしよっと。

 僕は机の上から綿棒をとった。

 ソファの上でダラダラしていると、彩音がリビングに入ってきた。


 彩音も鞄を降ろして、部屋着に着替えてきたようだ。

 彩音の部屋着は、めちゃくちゃ可愛かった。

 もこもこピンクの可愛い部屋着だ。

 しかも太ももの部分は大きく露出していて、ベリーショートな短パンだ。

 めちゃくちゃ太ももに目がいってしまう。


 普段の彩音は制服の下にタイツをいつもしているから、こんな近くで生足を拝めるのは、僕だけの特権だ。

 まあ、タイツの足もいいんだけどね。

 おっと、あまりジロジロと見るもんじゃないな……。


「どうしたのかな? 弟くん。そんなにお姉ちゃんの足が気になるの?」

「べべべべべべつに……!」


 いかん、バレバレだ……。


「いいんだよ? お姉ちゃんの足触っても」

「マジで……!? って、ダメでしょ……」

「なんで? 足くらい別にいいよー?」

「いや……なんというか……それは僕の理性がやばそうなので……」

「ふふ、もう可愛いなー弟くんはー」


 彩音は僕をからかうように、ほっぺをつんつんしてくる。

 もう……昨日からずっと彩音のペースだ。

 彩音は僕のとなりに座ると、アイスを食べだした。

 一緒にテレビを見てくつろぐ。

 こういうのも、なんだか本当に姉弟って感じでいいな。


「あ、弟くん耳かきしてるー!」


 すると彩音が僕の耳かきに着目した。


「耳かきってさーめっちゃ気持ちいいよね! 私もしよっと!」

「うん、わかる。ついやっちゃうんだよね」

「あ、そうだ!」

「え……?」

「弟くんに耳かきさせて?」

「はい……?」


 僕は耳を疑った。

 おかしいな、さっき耳かきして、耳はクリアなはずなのに。

 きき間違いかな。


「だから、お姉ちゃんが耳かきしてあげます」

「え、遠慮します……」

「えーなんでー! お姉ちゃんに耳かきさせてよー!」

「えーー……ぜったい変なことするもん……」

「しないしない! おねがーい!」

「うーん」


 嫌な予感しかしないんだけどな……。

 でもまあ、耳かきくらいいか……?

 いいのか……?

 好きな子に耳かきしてもらうってなんかえっちじゃないか……?

 僕の耳の貞操がピンチなのだが……?


「ねえ、弟くん? お姉ちゃんに、お耳いじらせて?」


 すると彩音は、僕の耳元に顔を近づけて、えっちな感じのトーンで、突然そんなことを言う。

 めちゃくちゃ耳の近くで言うから、息がかかって「はぅん」って変な声がでる。

 

「は、はぃい……」


 僕はもう、頷くしかなかった。

 まあ、耳かきくらい別にいいか。

 減るもんじゃないし……。


「はい、じゃあお姉ちゃんのお膝に頭をのせてください」

「はぃいい……!?」

「ひざまくらだよ? そうしないと、できないでしょ?」

「いや、ひざまくらじゃなくてもできると思うんですけども……」

「ほら、いいから早く! 今日一日、いろいろあって疲れたでしょ? お姉ちゃんは、弟くんの疲れを癒してあげたいんだよ!」

「お姉ちゃん……」


 そう言われると、断れないな……。

 そっか、彩音も彩音なりに、僕のことちゃんと見てくれてたんだな……。

 彩音だっていろいろ疲れてるはずなのに、僕のことを気遣ってくれるなんて。

 僕からも、あとで彩音になにかお礼をしなくちゃだよな。

 料理もしてもらってるし、彩音にはなにかしてやりたい。

 まあ、こうやって言いなりになることが一種の姉孝行かもしれないけど。


「わかったよ……。でも、ひざまくらしたこと、学校の誰にも言わないでね?」

「言わない言わない。もう、弟くんは恥ずかしがりだなぁ。じゃあ、お姉ちゃんと二人だけの秘密だね?」

「うん……」


 僕はなんか背徳感をかんじながら、彩音の太ももに頭をのせる。

 彩音の太ももはめちゃくちゃやわらかい……!

 ずっと教室で、手が届かない存在だった彩音――その太ももに、僕はいま頭をのせている。

 なんというか、感動だ。

 女子の太もも、恐ろしいまでに柔らかい。

 なんだ、この感触は……!!!!


 あれほど綺麗だな、触りたいな――と恋焦がれていた、霜月彩音の太ももに、僕は今触っている。

 マシュマロみたいに柔らかくて、絹のようにすべすべだ。

 しかも、なんかめちゃくちゃいい匂いがする。

 これ……なんの匂いなんだ。

 なんで女子って、こんなにいい匂いがするんだ……!


 彩音の太ももに頭をのせただけで、僕は成仏しそうになった。

 まさにこれは極楽枕だ……。

 そして、彩音は綿棒を手に持って、僕の耳に侵入してくる。


「はい、お姉ちゃんによる耳かきマッサージ開始だよ。かゆいところはございませんかー?」

「はぅん……!」


 敏感な耳をいじられて、僕は身体を震わせる。

 めちゃくちゃ気持ちいい……。

 太ももの感触と、女の子の臭いと、気持ちのいい耳――まさに僕は昇天しそうだった。

 耳、というよりも、脳まで彩音の甘いフェロモンが侵入してきているような錯覚。

 やばい、これはどうにかなりそうだ。

 彩音が僕の中に入ってくる。


「こしょこしょ、こしょこしょ。どうかなー? 気持ちいい? 弟くん?」

「うん。気持ちいいよ……お姉ちゃん……」

「こっちかな? それとも、こっちがいいかな?」

「あぅん……! そこ……いいよ……そこ……!」


 彩音は耳の中の気持ちいいところを的確についてくる。


「お姉ちゃん……! 気持ちいい……!」

「リラックスしてね。弟くん。いっぱい気持ちよくなっていいからね。いっぱい出そうね」

「うん、僕の中から、いっぱいかき出して!」

「いっぱい出たねぇ……! ほら、すっごいよ」


 僕たちは姉弟でいったいなにをやっているのだろう……。

 耳かきが終わって、冷静になったらなんか恥ずかしくなった。

 でも、最高に気持ちよかったな……。

 



==============

【あとがき】


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