11日目『 坂道 』
11/11の午前1時。俺はクーラーボックスに入れた生首と山の駐車場にいた。
幸い、駐車場に人はいなくて少しだけ安堵した。
たった222mの低山と呼べるかも怪しい山だがさすがに街灯もない山に夜中立ち入るとなると真っ暗で少しだけ怖気付いた。
しかし、他者から見て恐ろしいのは生首を捨てようとしている俺の精神状態ではないかと思い直した。
クーラーボックスと懐中電灯、他の必需品を持って登山口までの緩やかな坂道を歩いて行った。
登山口がぼんやりと見え始めた頃、異変に気づいた。登山口にバリケードがある。
「えっ」
バリケードの前に工事の立て看板があり、
造成工事のために封鎖されてるとのことだった。
「嘘だろ」
まさかこんな辺鄙な山を切り崩して家を建てるなど想像もしなかったので調べてなかった。
「いくらでも土地はあるだろうに…」と困惑しながらもここに埋めたところで、すぐバレてしまうと思い、登ってきた坂道を下っていった。
車に乗り込むとドッと疲れが押し寄せてきた。
思わず「もう…どこに捨てたらいいんだよ…」と声に出た時、後部座席に置いたクーラーボックスからユウキの笑い声が聞こえた気がした。
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