28日目『かわたれどき』

「俺…」

口走りそうになったところで目が覚めた。

11/28の早朝だった。

まだ、外は薄暗かったので二度寝しようと思ったが眠れない。

スマホでニュースを見ていたが成人男性の行方不明の報道は無くて、成人してると失踪しててもこんなものか…と思った。

外が少しずつ明るくなってきてたまには朝日でも見るかと薄いカーテンを開けた。

太陽の光がゆっくりと差してきて、昔に授業で聞いた、かわたれどきはこんな時間のことだったんだなとぼんやりした頭で思う。

学生時代はギリギリまで寝ていたくてこんな時間に起きることもなかった。

遠足や修学旅行の時でさえ、ギリギリまで寝ていた。


さっきより明るくなったのでクーラーボックスを車に乗せた。全部の部屋を掃き掃除するためである。掃き掃除を終えた俺は3週間程、お世話になった実家を綺麗に片付けてから車に乗った。


車を走らせて湖の駐車場まで来た。

夕方前なのに車も停まってないし誰もいない。

自販機で買ったコーヒーを飲みながら暖房が効いた社内でまったりしてると眠くなってきた。

最近、眠りたい時に眠れないのは昼寝を挟んでいるからでは…と思ったが眠いもんは眠いので仮眠を取ることにした。

もう最近は夢を見ることに慣れてしまった。

どう足搔いても2人は出てくるのだ。


「29歳で死んだの」

「29歳で死んだんだよね」

また生首と向き合っている。

俺は静かに口を開いた。

「俺も29歳で死んだんだよね」

2人の生首は満面の笑みを浮かべた。

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