27日目『物語』
クーラーボックスに入ってるユウキのことを考えたくなくて実家の掃除をやった。
ここに帰ることはないので色々なものをゴミ袋にまとめていく。
今は物置になってる俺の部屋には物が多くて片付けるのに時間がかかった。
そして俺はアルバムを見つけた。
小学生の卒業アルバムだ。
ぱらぱらと捲っていくとやはり女の生首を見つけた時期の写真やあの山の写真は1枚もなかった。
アルバム制作時に配慮してくれたのだろう。
しかし、小学生の出来事としては大きかったために俺の卒業アルバムなのに他人のアルバムを眺めている気分になった。
当時読んでた物語や両親が読んでいたであろう本なども出てきたが子供への教育の本が大量に出てきて笑いが出てきた。
親は偉人の伝記のシリーズの全巻セットを俺の部屋に置いていたのでそれも見つかった。
さすがに当時の俺も捨てづらかったのだろう。
綺麗なまま見つかった。
「物語になれるような人生歩めてねぇよ…」
一通り掃除を終えたらリビングに転がった。
目を閉じる。本当は全部、俺の幻覚で夢であればいいのにと思ったが手がユウキを殺した感触を覚えていてバラバラにした時の人間の臭いも覚えていて少し吐きそうになった。
「睡眠薬飲むか…」と3倍量の睡眠薬を飲んで、
眠くなるのを待った。
「29歳で死んだの」
「29歳で死んだんだよね」
2つの生首はずっと交互にそう言っていて、
声を出しそうになってる俺は唇を噛んで我慢した。
おそらく生首たちは待っている。
俺が声を出すことを。
俺の頭の中に浮かぶこの言葉を。
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