29日目『答え』

車内で目覚めた。

不思議と気分はスッキリしていた。

また駐車場にある自販機でコーヒーを買って飲みながらスマホを見る。

29日になったところだったので4時間程度寝ていたらしい。


コーヒーを飲み終えると俺はクーラーボックス片手に外へ出た。

風が強くて更に寒く感じる。

ここまできたら答えは1つしかなかった。


クーラーボックスと一緒に湖の近くまで歩いてきた。ここの湖は落ちないように柵があるがあまり高い柵ではない。その柵にクーラーボックスを引っ掛けて俺は柵を越えた。片手で柵を掴み、コンクリートで出来た細い足場に乗っている状態だ。さすがにバランスを崩しそうだったので片手で柵を掴み、もう片手はクーラーボックスを開けた。すごい臭いがして吐きそうだった。中からユウキの腐った生首を何とか取り出した。

「俺も29歳で死んだんだよね」とユウキの生首と一緒に湖に飛び込んだ。ユウキの生首が笑った気がした。


「って具合に最後だけ小説っぽく付け足して猟奇殺人犯が1ヶ月の間、ネットに上げていた日記と事件概要でまとめましょう」という結論で会議は終わった。

Aは殺人や死体損壊、遺棄罪などで被疑者死亡で書類送検され、親族もいない以上、取材したところで書くことが少ない事件になるところだったが本人がネットに上げていた11/1からの日記を手直しして出版するというのだから呆れてものが言えなかった。まぁ、それを書くことが自分の仕事なのだが。ただ本人の日記やニュースだけでは情報が少ないので現地に取材に行くことにした。


「そもそも最初の女の生首って何ですかね」と聞くと「Aは小学生の時に友人と山で女の生首を見つけて事件になってるんですよ。そして今回、殺されてバラバラにされたのが女の生首を一緒に見つけてしまった友人ですね。それがトラウマで幻覚を見てたとかですかね…?」と返答されたが何だか腑に落ちないな…と思いながら現地まで車を走らせた。

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