19日目『置き去り』

11/19の深夜。俺は山に来ていた。

もちろん、クーラーボックスごと生首を埋めるためである。

登山口にあるバリケードを乗り越え、工事で掘られた穴に近寄っていく。

俺はとても安堵していた。

ここで、やっと生首とおさらばできる。

俺は昔、女の生首があった付近に近づいた。

そこに戻そうと考えていたのだ。


しかし、女の生首の遺棄現場には女の生首があった。

目が合う。

「私、29歳で死んだの」


俺は気が動転しクーラーボックスをその場に置き去りにして走って山から降りた。

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