2日目『 食事 』
ふと目覚めると数時間ほど気絶していて、11/2になっていた。
11/1の出来事は悪夢だと思いつつ、枕の上を見ると女の生首はあった。目が合う。するとやはり「私、29歳で死んだの」と声を発する。
俺は女の声が聞きたくなくて、散乱するテーブルの上にあった食べかけの菓子パンを手に取り、開いてた女の口に押し込んだ。
ガムテープを口に貼るなど方法は色々あったが、ガムテープを出す時間すら惜しい。
とにかく声を発して欲しくなかった。
菓子パンを口に全部詰められた生首はそれでも「私、29歳で死んだの」と言おうとしてるのか口を動かそうとする。
菓子パンと生首の口の隙間からつーっと唾液が溢れ出る。
このまま窒息して死んでくれれば…と思ったがこれは生首だ。
どう考えても死んでいるし、この女の生首は20年前の死体遺棄事件で死んでる女だ。
生首の様子を見てられなかった俺はガムテープを探し始めた。
しかし、焦ってるせいか見つからない。
気づくと生首が藻掻く気配がなくなり大人しくなったか?と振り向くと女の生首はパンを全部吐き出していた。
吐き出されたパンは唾液を含んで、ぶよぶよしているようだった。
気持ち悪い…と顔をしかめてると少し横に動いた生首と目が合ったと思った時には「私、29歳で死んだの」とまた言った。
あぁ…食事は要らないんだな…とあらぬ方向へ思考は着地した。
女の生首は目が合わなければ何も言わないのだから電気を消して寝ればいいだけだ。
女の生首を触りたくなかった俺は、布団を出来るだけ一番遠い場所に敷き直して布団に入った。
ガムテープを買うまでの辛抱だと思いながら。
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