23日目『白』
起きてからも「俺、29歳で死んだんだよね」が頭から離れず風呂に入った。
鏡に写った俺はまるで亡霊のようで生気がなかった。数週間でこけた頬には猫の引っかき傷があり、逆の頬にはもう薄っすらとしか残っていない謎の引っかき傷がある。
猫に引っ掻かれたのは手だけだと思っていたが腕にも薄っすらと引っかき傷があった。
白のハイネックを着て、髪にドライヤーをかけたが白髪が驚くほどに増えていて、日常に戻ったとして黒髪に戻るんだろうか…と頭を抱えた。
髪を乾かし終わってから部屋で適当にテレビをつけたが面白くなくて報道番組にした。
山に戻っていた女の生首は報道されてるのだろうか…と見ていたがそんな報道もなく番組は終わった。
このまま日常に戻れる…そう思いながらうとうとしたと同時にいつもの夢になった。
ユウキの生首だ。俺はやはり動けないし話せない。どうせ、また繰り返し同じことを言うんだと思っていた。
「俺、29歳で死んだんだよね…。あの日は彼女に家追い出されてさ、お前ん家に泊めてもらうために来たんだよね。玄関前で粘ってたらお前、家に上げてくれて…そしてお前に殺されたんだよな」
そう、ユウキの生首は言った。
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