17日目『額縁』
ハッと目が覚めると女の生首が現れてから17日目、11/17だった。
熱はおそらく下がったものの、倦怠感があり、少し動くだけでぐったりしてしまった。
あまり動きたくないが2階からもう1枚、毛布を持ってきたくて2階へ上がった。
2階は俺の部屋があったが、俺が実家を出たので物置になっていた。
毛布を押し入れから出そうとした時に下の段に入っていた額縁に手が当たった。
額縁を見てみると俺が小学1年生の時の写生大会で描いた絵だった。
「あぁ…なんか賞を取ったんだったな…」と思いつつ絵を見ると、あの女の生首が捨てられてた山だった。
「だから飾ってたの外したんだな…」とぼんやりと思い出しつつ、俺は毛布を持って一階に降りた。
思えば、この家は額縁が多かった。
父や母の仕事や習い事での表彰状や俺の賞状や入賞した絵など色々飾られている。
リビングも例外ではなく、俺は額縁に囲まれて寝ていた。
俺が一緒に並べた両親の遺影も額縁と呼べるだろう。
そういえばユウキが遊びに来た時、賞状がいっぱいですげーな!と言っていた記憶がある。
俺は賞状を飾ることがあまり好きではなかった。
両親のように何者かにならなければいけないという見えない圧力のような気がして。
そうならないとこの家に居れない気がして、息が詰まって実家を出た。
額縁は俺にとって俺を型にはめるものでしかなかったな…と思ったところで、もう両親はこの世にいないのだから文句も言えやしないのだが。
倦怠感は拭えないまま、俺は寝落ちた。
ユウキの生首は言う。
「長い現実逃避だな〜。どっちにしてもお前がやってることは犯罪なんだから犯罪っていう括りからは何も変わらないだろ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。