8日目『 鶺鴒 』
ふと目覚めると昼だった。
たまに量を間違えて2日酔いになるが度数の高い酒は効果覿面だ。
外は少し肌寒くなりはしたが
それでも昼間は例年よりも暖かい。
例年より温度が高いということは
生首が腐るスピードも早いということだ。
実家に来てから土間に放置しているクーラーボックスからは異臭がしてきていた。
俺はクーラーボックスを開ける勇気はない。
おそらくクーラーボックスごと捨てることだろう。
実家の中にいると臭いがするので着替えを持って1番近所のネットカフェに向かう。
ちなみにそこまで20kmあるので道中、コンビニに寄った。
駐車場で車から降りると小さな白い鳥がぴょこぴょこ歩いてきた。
ハクセキレイだった。
コンビニの駐車場に落ちていたパンを啄んでいる。
生首もあんな感じで啄んでくれねぇかな…と思ったが、やはりクーラーボックスから出すのが恐ろしいので鳥に啄んでもらう案は諦めた。
おそらく、生首が骨になるより人に見つかるほうが早いだろう。
酒と新聞と弁当を買った俺はコンビニを後にしてネットカフェに向かった。
ネットカフェの受付をしてシャワールームのことを聞いたら空いていたのでそのままシャワーを浴びる。
シャワーを浴びながら連日見てる悪夢をぼんやりと思い出す。
最近の夢は女の生首ではなく、ユウキの生首が話してることが多くなっていた。
「お前はもう日常に戻れない…か…」
おそらく俺が思ってることを夢のユウキの生首は代弁してるんだろう。
生首を捨てて日常に戻れるわけは無いと思っている。
人に見つかる不安や警察に捕まる不安などひっくるめて11/1より前の日常には戻れないだろう。
「なんで俺なんだよ」とすべてのことに面倒さを感じながらもシャワーは浴び終えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。