10日目『 来る 』
午前10時を過ぎてからネットカフェから帰ってきた。実家の付近は家がなく荒れ果てた畑しかない。セイタカアワダチソウが蔓延っている。
「花言葉は元気だったっけな…」とネットで読んだ知識を思い出したが、帰化植物であり、元は海外の植物なのでどう考えても元気の押し売りである。ブラック体育会系の匂いを感じる。
「ユウキもそんな感じだったな…」と思い出したが最近は夢に生首の姿でしか出てこないせいか、あいつの首から下が思い出せなかった。
車に生首の入ったクーラーボックスを積み込んだ後、実家を少し片付ける。
異臭を紛らわせたくて色んな所の窓を開けて掃除をしていたら「すみませーん!」と玄関辺りから声をかけられた。
誰か来た。
誰だと思い、開けっ放しの玄関の方へ向かうと1人の男が立っていた。
「私、こういうものでして」と名刺を出される。害獣駆除業者だった。
俺は実家を掃除しに来ただけでここには誰も住んでないことを伝えた。
すると「でも、変な臭いがしますよね?良ければ調査させてもらえませんか?無料なので」と話を続けてくる。
「ここは取り壊す予定なので調査は大丈夫です」としれっと嘘をついたら害獣駆除業者はすんなり帰ってくれた。
夕方、掃除を終え、ネットカフェの帰り道で買ってきた弁当を食べながら山へ埋める予定を組む。山は遠足も組まれるぐらいの低山で高齢者のハイキングコースでもあるので駐車場がある。山と駐車場は夜も入れるので後は誰もいないことを祈るのみである。
まぁ、景色が一望できるほどの高い山ではないので景色目当ては来ないと思うが、駐車場に停めていちゃつくカップルぐらいはいでもおかしくないがもう、そこは運だと思うことにした。
夜中まで少し時間があるので仮眠を取ることにした。
どうせ、今日の夢もユウキの生首が出てくると思いながら寝た。
「考えてもどうにもならないことを考えるよね、お前は」とユウキの生首は笑いながら言った。ユウキの生首は少しずつ変色しかけていた。
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