4日目 『 温室 』

ホームセンターで必要なものを探す。軍手や錘になりそうなコンクリートブロックなどは見つかったが女の生首を埋めるための大きめのシャベルが見つからず、農業や園芸のコーナーに入った。

園芸コーナーにあると思ったら小さなスコップしか無く、仕方なく併設されている大きい温室の方の売り場に立ち寄る。

こっちには土など大きめ農業、園芸用資材が売られていて、すぐ車に乗せることができる。

温室には寒さに弱い植物が置かれていて、その中には食虫植物もあった。

食虫植物であの女の首が綺麗さっぱり溶かせればいいのに…と思ったが、アメリカかどこかの殺人鬼もワニを数匹飼ってて遺体を食わせてたと考えると小さな食虫植物では非現実的だと乾いた笑いが出た。


ホームセンターを出て、家に帰る途中でスマホの画面にポップアップが出る。ユウキだ。

トーク画面には"彼女に追い出されたから家に泊めてー!お願い!"と表示されていた。

常日頃から思ってるがユウキはタイミングが非常に悪い。

俺は"忙しいから無理"と送信してキンキンに冷えてるであろう部屋への道を急いだ。


部屋は冷房の限界の18℃まで下げたのでキンキンに冷えていた。

いくら今年の11月が暑いとはいえ、さすがに寒すぎる。

生首はやはりバスタオルを落としていて、俺と目が合うと「私、29歳で死んだの」とガムテープ越しに言っている。

この異常な状況に慣れてしまって女の生首に無心にバスタオルを掛ける。

明日、女の生首を埋めるか沈めるか考え始めた。とりあえず、何も考えずに埋める用のシャベルと沈める用のコンクリートブロックを買ってきたが土に埋める方が楽かもしれないと思い始めていた。

どこの山が良いだろう…と考えていると玄関のチャイムが鳴って、ドアを叩かれる。

「冷たいこと言うなよ〜開けて〜」

ユウキだ。本当にあいつはタイミングが悪い…。悪すぎる。そして近所迷惑すぎる。

俺は居留守を決めて、騒いでるユウキは近所のやつに怒られろと思って放置することにした。

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