トランスファー “空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか?”
鰺屋華袋
プロローグ
第1話 空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか? 1
何が起こっている?
突然の出来事に思考が追いつかない。
さっきまで僕は、地元で同窓会に出席していた。まぁ同窓会と言っても大規模な物でもなく...同じクラスの仲間だけが集まっただけのこじんまりした物だが...
普段、会えない学生時代の仲間を相手に、つまらない愚痴をこぼしたり、出席していない
大した話題もなかったが、楽しい気分で『また飲もう!』と言ってクラスメートたちと別れ、家路に家路に就いた。
そして...それは“あと僅かで自宅”という所を歩いていた時に起こった。少し近道になる路地を曲がって...そこまでは間違いない。
間違いない筈なんだが....気が付いた瞬間、僕の周囲は
少なからず酔ってはいたが、異変は絶対に気のせいではない。なぜなら、
周囲は確かに路地だったが、明らかに自分の歩いていた所とは様子が異なっている。
新しい元号に変わろうかというこのご時世に、一地方都市とはいえ、石を積み上げただけの壁などめったに見られない。
そもそも、そんな風景は帰り道には無かった筈だ。
突然の事に、酔いがまわり過ぎて...道端で夢でも見ているのか?と、いぶかしんでいる所へ....
『困った事になりました』
突然、耳元に聞き覚えのない声が響く! 明らかに周囲に人などいないのに....大きな声ではないが、確かに
かなり間抜けな感じで、キョロキョロと周りを見回していると、
『驚かせて申し訳ありません。しかし幻聴ではありませんので落ち着いて下さい』
再度の呼びかけ。遠くから聞こえる訳ではなく明らかに近くから、落ち着いた感じの男性の声が語りかけてくる。
『落ち着けと言われても難しいとは思いますが....今は時間がありません。このままだと、あなたに危害が及ぶ事態が迫っております。私ができる限りの補助設定を行いますので、合図したら(ムーヴ)と呟いて下さい』
??????!なんだこれ?突然の事に頭が疑問符に埋め尽くされる。
『特例次元干渉開始! 座標設定! 時間軸確認! 転換先座標および空間範囲値送信完了! 今です!!』
「 ムーヴ? 」
耳元で囁かれた言葉になかば
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