第4話 空間とか異次元とかってそんなに簡単なんですか? 4
「つまりスキルとは[個人の体験や性質に影響されて発現する特殊な能力]と考えればよいのでしょうか?」
「
なるほど...今の僕にはそのイメージを投射する土台が“体内に構築されていない”からスキルのイメージがあっても行使出来ないのか...
「いくつか疑問点はありますが概ね理解しました。それではもう一つの重要問題について...
若干、話しにくそうな表情をして【
「それは...お伝えできないのです」
やはりか...神様の態度からなんとなくそんな気がしていた。
「実は、
なんとなくだが、知っている事によって起りうるパラドックスに大きく影響を受けるのかもしれない。
「分かりました。無理を言ってもしょうがありませんし、そもそも保護されている身の上ですしね...それで僕が帰還する為にしていただける“お手伝い”をお聞きしてもいいでしょうか?」
「承知いたしました。お手持ちのスマートフォンをこちらへ」
?どう考えても電話やインターネットが繋がる訳もなく、早晩バッテリー切れになるのが明確なのに、何をするというのか?
「このモバイルに、『貴方が一人立ちする為に役立つ知識』、護身の為に『自身で使用可能になるまでの魔法の代替行使機能』、『次元連結の捜索機能と連結先の調査機能』、『本体に電源供給する為のエネルギー変換アプリ』、『その他の“補助に必要な機能”を統括する双方向インターフェイス』をインストールします。その上でこちらの世界でも奇異に映らない
...色々と突っ込みたいのを我慢して一つだけ疑問を口にする。
「親切な機能は大変ありがたいのですが...“事象への介入”には当たらないのですか?」
「...むしろこれらの機能を持つガジェットによって“
???説明の中にそんな機能があっただろうか?
「疑問はごもっともですが、直接見て頂いたほうが早いでしょう。インストールを開始します」
その言葉と同時に、どういったエフェクトかは分からないが、スマートフォンの画面が異常に光り出す。と、その光は画面以外の本体にまで浸食し始めた。さらに光は勢いを増し視認できる光量を超える。体感的には一分程度だと思うが...光が消えた時そこには...
「以後、よろしくお願い致します。主殿」
そこには、頭部の一本羽のみが白い、漆黒のフクロウがいた。大きさは鳩くらいで、その脇には小さなレンズが付いた見慣れない器具が転がっている。
「
とんでもアーティファクトだな...
「油断して人に奪われない様にしないと、とんでもない事になりそうだな」
「万一にも奪われる事などないと思いますが・・・主殿以外にはただのモノクルとしての機能しかありませんし、私に命令して頂ければ即座に位相空間経由でお手元に引き戻せます」
さらりとまた...ナンチャッテSFチックなことを...そういえばどこかで〝十分に進んだ科学は既に魔法と区別できない。〟と聞いたことがあるが...
「まぁよろしく頼むよ。名前はあるのかい?」
「米国i社製モバイルフォン タイプ8 製造ナンバー16758...」
「ちょっと待ってくれ。それが名前では余りにも...別で
「ご随意に...主殿手ずから新たな名を頂けるのに異存などございません。」
「うーんフクロウらしい名前なんて全く分からない...少ない知識からで申し訳ないけど“ミネルヴァ”でいいだろうか」
「光栄でございます。これよりこのミネルヴァ主殿の恩為に奮迅の働きを誓わせていただきます」
とりあえず、この先が分からない状況で頼もしい同伴者が出来たのはありがたい。
「無事にインストールが完了した様で安心しました。今後は彼女があなたの旅を支え導いてくれるでしょう。そして次元の運行に対して大きすぎる影響が現れそうな時は、大過ない結果に収束されるよう手助けしてくれます」
なるほどそういう事か...
「それでは保護空間にあなたを匿える時間も少なくなって来ました。これより貴方を保護前の空間に戻します。現実空間ではミネルヴァがあなたを守ってくれますので、取り急ぎは目前にせまる危難を凌いでください。ご自分の能力の詳細と次元連結の捜索方法は二人で相談して下さい。その為の機能と能力はあるはずです。しばらくは試行錯誤の連続で苦労される事になるかと思いますが...健勝と幸運があなたと共にあらんことを...」
正直なところ不安だらけだが...自然災害に巻き込まれたと考えれば、やり直しの機会を与えられただけで御の字なんだろう。
「お世話になりました」
モノクルを左目に装着し、右肩にミネルヴァが静かに舞い降りた。...改めて考えるとハンパない中二臭!で、たまらない気持ちになった。orz...
「準備が整ったら(あの言葉)を...」
柔らかな微笑みで促される。
「 ムーヴ!! 」
僕はこの世界に来て、初めて発した言葉を再び呟いた。
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